QEEG

QEEG / Quantitative EEG

脳の「癖」
脳波と画像で見る

QEEG(定量脳波)は、病名を決めるための検査ではありません。日本臨床神経生理学会の委員会報告も、QEEG単独の結果を診断の道具として使うべきではないとしています。
一方で同じ報告は、QEEGを「その人の脳波の特性や、治療に伴う脳波の変化を数量的にとらえる方法」としては有用だとも評価しています。当院はこの範囲に限って、ニューロフィードバック(NFB)の目標設定と、TMSを一人ひとりに合わせて組み立てるためにQEEGを用いています。

診断には使いません見るのは脳の癖(個人差)NFBと個別化TMS治療神田院のみ/自費診療

What is QEEG

脳の使い方の「癖」を可視化する

体の使い方の癖が肩こりや腰痛、頭痛につながることがあります。同じように、脳の使い方にも癖があります。ネガティブなモード、不安のモードから抜け出せず、そこに留まり続けてしまう。QEEG(定量脳波)は、こうした脳の使い方の特徴を画像と数値にする検査です。

脳の神経細胞が出すごくわずかな電気の変化を、頭皮に付けた電極で記録したものが脳波(EEG)です。
QEEGは、デジタル記録された脳波を数学的・統計的に解析することで、脳波のさまざまな特性を数値化して表示する技法の総称です。臨床の場では、そのうち安静時の脳波の周波数解析と、健常な方のデータを集めた「規範データベース」との比較を行う検査を指して、QEEG検査と呼ぶことが多くなっています。

「同じ診断名でも、脳の癖は同じではない」

診断名は、症状のまとまりに付けられた「呼び名」です。同じ「うつ病」と呼ばれる状態でも、脳の使い方の癖は人によって異なります。
QEEGは、その診断名の中にある個人差を数値としてとらえるための検査であり、診断名そのものを決めるための検査ではありません。この線引きが、QEEGを正しく使ううえでの出発点です。

Figure 01
QEEGが担う範囲と、診断が決まる範囲を分けて示した図。QEEGは脳波の特徴を数値として示すところまでを担当し、診断名は症状・経過・診察に基づいて決まることを示している。

QEEGは、その人の脳波の特徴(個人差)を数値として示すところまでを担います。診断名は、症状・経過・診察に基づいて決まります。

How it works

規範データベースとZスコア

QEEG検査が「同年代と比べてどうか」を示せるのは、あらかじめ健常な方の脳波を集めた比較用のデータベースを持っているからです。順を追って説明します。

  1. 1

    脳波を記録する

    国際10-20法という決まりに従い、頭皮上の19箇所(機器によってはさらに多くの電極)から、安静にして目を閉じた状態と、目を開けた状態の脳波を記録します。

  2. 2

    周波数帯域ごとの強さを計算する

    電極ごとに、デルタ(δ)・シータ(θ)・アルファ(α)・ベータ(β)といった周波数帯域別の強さ(パワースペクトル)を計算します。

  3. 3

    規範データベースと比べる

    あらかじめ、数百人から千数百人規模の健常な方の脳波から、部位別・帯域別の分布を求め、年齢別の比較用データ(規範データベース)を作っておきます。受けた方の数値を、これに照らしてZスコアという「平均からどれだけ離れているか」を表す値に変換します。

  4. 4

    頭部の図に色で表示する

    Zスコアを頭部の図(トポグラフ)に色で表します。たとえばある部位が「3σ」と示された場合、それは同年代の健常な方の99.7%が示す値よりも大きい、という意味です。あわせて、左右の半球の差、部位どうしのつながりを見るコヒーレンス解析、タイミングのずれを見る位相解析なども図として表示できます。

Zスコアの読み方

Zスコアは「同年代の平均と比べてどうか」を表す数値であって、病気の有無を表す数値ではありません
平均から外れているという結果は、そのまま異常や病気を意味しません。

通常脳波検査との違い

項目通常の臨床脳波検査QEEG検査
主に見るもの医師が波形を目で読み、てんかん波などの異常所見の有無を判断する記録した脳波を数値化し、同年代の規範データベースと比べて偏りを示す
記録・報告の条件保険医療機関の通常診療として行われ、記録・判読の基準がある賦活法の有無、モンタージュ(電極の組み合わせ)の設定、報告書に記載する事項などで異なる点が多い
位置づけ保険診療として実施される頭皮の脳波を記録し、その結果に基づいて医療行為を行う点では脳波検査の一種。日本では保険診療として認められていない

※ QEEGはCT・MRIの代わりにはなりません。脳梗塞や脳腫瘍など、器質的な病変が疑われる場合は、CT・MRIによる検査をおすすめします。

Individuality, not Diagnosis

QEEGで分かること

QEEGを「病名を当てる検査」と考えると、期待外れになります。
日本臨床神経生理学会の委員会報告は、QEEG検査単独の結果に基づいて、ADHDをはじめとする神経発達症や精神疾患の臨床診断を行う道具として使うべきではない、と明確に述べています。
一方で、その人の脳波が同年代と比べてどう違うかという個人差の記述としては、意味のある情報が得られます。

個別性を見るために使えること

  • その人の脳波が、同年代と比べてどの帯域・どの部位で偏っているかを数値で示す
  • 治療の前後で、脳波の基礎的なリズムがどう変わったかを数量的に追う
  • 波形を目で読む際に、軽度の左右差など見落とされやすい点へ注意を促す補助にする

QEEGにはできないこと

  • ×ADHD・自閉スペクトラム症・うつ病などの確定診断
  • ×脳波の数値だけで「病名を決める」こと
  • ×心の状態や性格を数値で言い当てること
  • ×治療の効果や必要な回数を事前に確定させること
  • ×脳梗塞や脳腫瘍など、病変があるかどうかを判定すること
Figure 02

同じ診断名の中に、違う脳の癖がある

同じ診断名がついた複数の人で、脳波の特徴がそれぞれ異なることを模式的に示した図。診断名は共通でも、優勢な周波数帯域や部位のバランスは人によって違うことを表している。</figure>

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ADHD & Theta/Beta Ratio

脳波でADHD診断?

QEEGの話題で最もよく登場するのが、シータ波とベータ波の比(シータ/ベータ比、TBR)とADHDの関係です。ここは、規制当局の判断と学会の評価が食い違って見えるため、混乱しやすいところです。経過を追って整理します。

時期出来事読み取り方
1970年代脳波によって神経精神疾患を自動的に診断する方法として、Johnらが提唱(当時は「ニューロメトリクス」と呼ばれた)。構想は古くからありましたが、その後広く普及することはありませんでした
2006年メタ解析により、DSM-IVで診断されたADHDの子ども1,498名と健常児の前頭・中心領域のシータ/ベータ比を比較。ADHD児で統計的に有意に高い値が示された(効果量3.08、感度94%、特異度94%)。この結果が、後の米国での機器認可につながりました。ただし後述のとおり、その後の研究では差が小さくなっています
2013年
米国FDA
正中中心部(Cz)のシータ/ベータ比が6〜17歳のADHDの診断補助に有効であるとして、QEEG検査システムをクラスIIの医療機器として認可。同時にFDAは、臨床医が済ませた臨床評価の裏付けとしてのみ使うべきで、ADHDの評価や診断に単独で用いることはできないと注意を付しています。
2016年
米国神経学会
米国神経学会(AAN)の委員会が、ADHD診断におけるシータ/ベータ比の有用性を検討した診療勧告を公表。標準的な臨床評価だけの場合と比べて、シータ/ベータ比を組み合わせることが診断の確実性を高めるかどうかは不明、と結論。勧告として、①シータ/ベータ比と前頭部βパワーの組み合わせは標準的な臨床評価に取って代わるものではないと患者・家族へ伝えるべきこと、②偽陽性が多いためADHDと誤診された方に実質的な害を及ぼすリスクがあること、③研究の場を除き、診断の確定にも臨床評価後のさらなる検査の裏付けにも用いるべきではないこと、が示されました。
2022年この2016年の勧告が、同年10月に再確認された。評価は現在も維持されています
その後の
研究
ADHDの診断バイオマーカーとしてのQEEGについては、肯定的な知見は少なく、否定的な報告が大半を占めています。共通して指摘されているのは、①シータ/ベータ比による診断の偽陽性率の高さ、②1990年代〜2009年の研究に比べ、2010年以降の研究では健常群とADHD群の差(効果量)が年を追って小さくなっていること、の2点です。数値が高い=ADHD、低い=ADHDでない、とは言えません
近年の
レビュー
成人(18歳以上)のADHD診断に関する21編の論文をまとめた2020年のレビューは、診断ツールとしての可能性は認めつつ、現時点での使用は推奨できないと結論。1996〜2017年のQEEG関連516編から信頼性の高い33編を選んだ包括的レビューも、QEEGの異常が小児精神疾患の非特異的な指標なのか、疾患の種類を見分けられるものなのかは、まだ不明としています。研究は続いていますが、診断に使える段階には至っていません

※ FDAの認可は米国での機器規制上の判断であり、日本での保険適用や診断基準を意味するものではありません。日本では、QEEG検査自体が保険診療として認められていません。

Limitations

検査の限界

以下は、当院でQEEGを受けていただく前に知っていただきたい点です。

  • 1偽陽性(本当は異常でないのに異常と判定されること)が起こりやすい。
    個人差を数値にする検査である以上、「同年代の平均から外れている」という結果は出やすくなります。平均と違うこと自体は、病気を意味しません。
  • 2比較の土台となる規範データベースには幅がある。
    QEEG検査システムを製造・販売する企業は複数あり、データベースの作り方は同一ではありません。年齢ごとの被験者数が十数名から百名程度にとどまるという指摘もあります。「同年代と比べて」という表現の重みは、この土台の規模に左右されます。
  • 3雑音(アーチファクト)の影響を受ける。
    まばたき、筋肉の動き、体の動き、眠気などが混じると数値は変わります。
    電極の付け方、服薬、睡眠不足、カフェイン、飲酒、その日の体調によって脳波は変化します。記録条件が整わないと判断した場合、日をあらためてお願いすることがあります。

Why we use QEEG

ベスリのQEEG

診断に使わないQEEGを、ベスリはなぜ行うのか。手がかりは、ここまで引用してきた同じ委員会報告のなかにあります。

同報告は、QEEGを診断の道具として使うことには明確に否定的である一方、QEEGという手法そのものは統計学的に健全であり、その人の脳波の特性や、治療に伴って脳波の基礎的なリズムがどう変化したかを数量的にとらえる方法としては有用であるとも評価しています。

つまり、否定されているのは「QEEGで病名を決めること」であって、「その人の脳波の特徴を数値でとらえること」や「治療に伴う脳波の変化を数値で追うこと」ではありません。ベスリは、この後者の範囲でQEEGを行っています。

目的1
ニューロフィードバック(NFB)

  • NFBは、自分の脳波の状態をリアルタイムで見ながら、脳の使い方を調整していく訓練です
  • 「どの脳波を、どの部位で、どう変えていくか」という訓練目標を決めるには、その人の脳波の特徴を数値で把握する必要があります
  • 脳の癖が人によって違う以上、訓練の目標も個別に決める必要があります
  • 訓練の前後で、脳波の基礎的なリズムがどう変わったかを確認する材料にもなります
  • ×NFBの効果は、対象や条件によって評価が分かれています。効果をお約束するものではありません

目的2
個別化TMS治療

  • TMS治療は、どこを・どの周波数で・どのくらい刺激するかによって内容が変わる治療です
  • 脳の使い方の癖は人によって違うため、QEEGで把握した個別性を、刺激部位・刺激法を検討する材料のひとつとして用います
  • 治療の前後で脳がどう変わったかを確認する材料にもなります
  • 最終的な刺激法は、症状・経過・診察とあわせて医師が決定します
  • ×QEEGに基づいて刺激法を選ぶことが治療成績を改善すると確立されたわけではありません
QEEG
Figure 03

QEEGは、治療を組み立てるために使う

QEEGの結果が、ニューロフィードバックの訓練目標の設定と、TMSの刺激部位・刺激法の検討という2つの用途へつながることを示した図。診断名を決める用途は含まれていない。</figure>
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Who is it for

よくあるご相談

QEEGは、どなたにも必要な検査ではありません。
次のようなご相談があったとき、QEEGをおこなうかどうかを一緒に検討します。

よくあるご相談

  • TMSやニューロフィードバックを検討していて、自分の脳波の特徴を知りたい
  • TMS治療で右脳・左脳などどこを刺激するのか、低頻度刺激がよいか、高頻度刺激が良いか自分に合う刺激法を客観的に知りたい
  • 薬物療法以外の選択肢も含めて、治療の組み立てを相談したい
  • なんとなく集中できない、気力が出にくい状態が続いている
  • 頭が重い、ぼんやりする(ブレインフォグ)状態が続いている
  • 不安、いらだち、意欲の低下が続いている
  • 治療の前後で、脳波の状態がどう変わったかを確認したい

Flow

検査の流れ

QEEGは、頭皮に電極を付けて安静時の脳波を記録する、身体を傷つけない検査です。

  1. 1

    初診のご予約

    当院はご予約制です。まずはWebの初診予約フォームからお申し込みください。この時点でQEEGを予約する必要はありません。

  2. 2

    問診・診察

    症状、経過、これまでの治療、生活での困りごとを確認します。QEEGを行うかどうか、行う意味があるかは、この診察をふまえて判断します。

  3. 3

    検査の説明とご予約

    検査を行う場合、目的(NFBの目標設定か、TMS治療の刺激法の検討か)と限界をご説明したうえで、あらためて検査日をご予約いただきます。診察と同じ日に実施できるとは限りません。

  4. 4

    脳波の記録

    頭皮に電極を付け、安静にした状態で脳波を記録します。記録にかかる時間は、おおむね30分〜1時間です。電気や磁気を身体に流す検査ではありません。

  5. 5

    解析

    記録した脳波を解析ソフトで数値化し、年齢別の規範データベースと比較してZスコアに変換します。左右差、コヒーレンス、位相の解析結果もあわせて図として表示します。

  6. 6

    結果の説明と、治療の検討

    結果の一部を当日中にお伝えできる場合もありますが、詳しい説明は後日となることがあります。

検査を受ける前に

  • 前日はできるだけ洗髪し、当日は整髪料の使用を控えてください。電極が付きにくくなり、記録の質に影響することがあります
  • ヘルメット型の機器を使用するため、締め付けにより多少の痛みや圧迫感を感じる場合があります
  • 睡眠不足、カフェイン、飲酒、服薬、体調によって脳波は変わります。当日の状態は遠慮なくお伝えください
  • 服用中のお薬は自己判断で中止せず、事前にご相談ください
検査前後のご相談

当日の体調や睡眠の状況によって結果は変わります。記録条件が整わないと判断した場合、日をあらためてお願いすることがあります

Price

QEEG検査の費用

日本では、QEEG検査自体が保険診療として認められていません。そのため当院でも自費診療として実施しています。実施は神田院(ベスリクリニック東京)のみです。

内容回数料金
QEEG検査1回16,500円(税込)
QEEG検査(治療前後の2回)2回22,000円(税込)

※ 2回のセットは、治療の前後で脳波を記録し、その人の脳波がどう変化したかを確認するためのものです。脳波の変化がそのまま治療効果を意味するわけではなく、症状・経過とあわせて評価します。
※自費診療です。診察料は別途かかります。最新の料金は神田院へお問い合わせください。

受ける回数と時期について

初回は、TMS治療の刺激法やNFBの目標を検討するために行います。その後は、治療の経過を確認する目的で、一定回数の治療を行った時点で再検査することがあります。時期や回数は症状と経過によって異なるため、個別にご相談します。

FAQ

よくある質問

Q.QEEGと、普通の脳波検査は何が違いますか?
記録の仕方は基本的に同じで、頭皮に電極を付けて脳波を測ります。違うのはその後です。通常の脳波検査は医師が波形を目で読み、てんかん波などの異常所見の有無を判断します。QEEGは、記録した脳波をコンピュータで数値化し、同年代の健常な方を集めた規範データベースと比べて、どの帯域・どの部位が偏っているかを図と数値で示します。目で読む検査を、数値の面から補うものと考えてください。なお日本では、QEEG検査自体は保険診療として認められていません。
Q.診断ができないなら、QEEGは何のために受けるのですか?
その人の脳波の「個別性(個人差)」を把握するためです。日本臨床神経生理学会の委員会報告は、QEEG単独の結果で診断すべきではないとする一方、QEEGという手法そのものは、個人の脳波の特性や、治療に伴う脳波の変化を数量的にとらえる方法としては有用だと評価しています。当院がQEEGを使うのは、この範囲に限られます。具体的には、ニューロフィードバックの訓練目標を決めるためと、TMSの刺激法を一人ひとりに合わせて検討するためです。
Q.QEEGでうつ病やADHDの診断はできますか?
できません。米国神経学会は2016年の診療勧告で、標準的な臨床評価の代わりにQEEGでADHDを診断すべきではなく、臨床評価後の確定にも用いるべきではないとしています(2022年10月に再確認)。日本臨床神経生理学会の委員会報告も、QEEG検査単独の結果を、ADHDをはじめとする神経発達症や精神疾患の臨床診断の道具として使うべきではないとしています。診断は、生育歴・症状・生活での困りごと・診察・必要な心理検査に基づいて行います。
Q.米国FDAが脳波でADHDを診る機器を承認した、と聞きました。
2013年に、6〜17歳を対象に正中中心部(Cz)のシータ/ベータ比を測る機器が、医師の臨床評価と組み合わせて診断を「補助する」装置として認可されました。ただしFDAは同時に、臨床医が済ませた臨床評価の裏付けとしてのみ使うべきで、ADHDの評価や診断に単独で用いることはできない、と明記しています。さらに、精神疾患を評価する資格を持ち、ADHDの診断経験が豊富な医療専門家だけが使うべきだとも付け加えています。「脳波だけで診断できる機器が承認された」という意味ではありません。また、この認可は米国での機器規制上の判断であり、日本の保険適用や診断基準を意味するものでもありません。
Q.日本の学会は、QEEGをどう評価していますか?
日本臨床神経生理学会の神経精神疾患バイオマーカー検討委員会は2025年の報告で、次のように整理しています。QEEGという手法そのものは統計的手法に基づく健全な方法であり、個人の脳波の特性や治療に伴う変化を数量的に評価するには有用である。しかし現時点では、波形の目視判読で見落とされやすい点に注意を促す補助的手段、あるいは診断経験の豊富な医師が従来の診療での判断を補助する手段のひとつとして用いるべきであり、QEEG単独の結果を臨床診断の道具として使うべきではない。当院は、この見解に沿ってQEEGを運用しています。
Q.QEEGの結果が「異常」でした。病気ということですか?
そうとは限りません。QEEGが示すのは「同年代の平均と比べた個人差」であり、平均と違うことがそのまま病気を意味するわけではありません。QEEGは偽陽性(本当は異常でないのに異常と判定されること)が起こりやすい検査です。電極の付け方、まばたきや筋肉の動き、眠気、服薬、記録時の体調によっても数値は変わります。結果は必ず、症状・経過・診察とあわせて解釈します。
Q.規範データベースとは何ですか?信頼できるものですか?
健常な方の脳波を集めて、年齢別・部位別・周波数帯域別の分布を求めた比較用のデータです。あなたの数値が「同年代と比べてどうか」を示せるのは、この土台があるからです。ただし、QEEG検査システムを製造・販売する企業は複数あり、データベースの作り方は同一ではありません。年齢ごとの被験者数が十数名から百名程度にとどまるという指摘もあります。比較の土台には幅があるという前提で、結果を受け取っていただく必要があります。
Q.検査にはどのくらい時間がかかりますか?
脳波を記録する時間は、おおむね30分〜1時間です。これとは別に、解析と結果のご説明の時間が必要になります。結果の一部を当日中にお伝えできる場合もありますが、詳しいご説明は後日となることがあります。
Q.検査の前に準備することはありますか?
前日はできるだけ洗髪し、当日は整髪料の使用を控えてください。頭皮に電極を付けるため、整髪料が残っていると記録の質に影響することがあります。また、睡眠不足やカフェイン、飲酒、服薬、当日の体調によって脳波は変わります。服用中のお薬は自己判断で中止せず、当日の状態とあわせて事前にお知らせください。
Q.検査に痛みや副作用はありますか?
QEEGは、頭皮に付けた電極で脳が出す電気の変化を「記録する」検査です。電気や磁気を身体に流したり、注射をしたりする検査ではありません。ただしヘルメット型の機器を使用するため、締め付けにより多少の痛みや圧迫感を感じる場合があります。つらいときは検査中でもお伝えください。
Q.どのくらいの頻度で受けるものですか?
初回は、TMSの刺激法やNFBの目標を検討するために行います。その後は、治療の経過を確認する目的で、一定回数の治療を行った時点で再検査することがあります。時期や回数は症状と経過によって異なり、あらかじめ決まった回数を受けていただくものではありません。
Q.ニューロフィードバック(NFB)とは何ですか?
自分の脳波の状態をリアルタイムで見ながら、脳の使い方を調整していく訓練です。「どの脳波を、どの部位で、どう変えていくか」という目標の設定に、QEEGの結果を用います。脳の癖は人によって違うため、訓練の目標も個別に決める必要があります。効果には個人差があり、対象や条件によって評価が分かれていることもあわせてご説明します。
Q.QEEGの結果で、TMSの刺激法はどう決まるのですか?
TMSは、どの部位を、どの周波数で、どのくらい刺激するかによって内容が変わります。当院では、QEEGで把握した脳の使い方の癖を、刺激部位や刺激法を検討する材料のひとつとして用いています。ただし、QEEGの結果だけで刺激法が自動的に決まるわけではなく、症状・経過・診察とあわせて医師が判断します。また、QEEGに基づいて刺激法を選ぶことが治療成績を改善すると確立されたわけではありません。
Q.QEEGを受ければ、TMS治療が効くかどうか分かりますか?
分かりません。脳波の指標と治療反応の関係を探す研究は国際的に続いていますが、臨床の場で治療の可否や刺激条件を決めるために使える指標として確立したものはありません。TMSの効果には個人差があり、事前に保証できるものではありません。
Q.QEEGで脳梗塞や脳腫瘍は分かりますか?
分かりません。QEEGは、脳の活動の偏りを数値として示す検査であり、脳梗塞や脳腫瘍が「あるかどうか」を判定する検査ではありません。これらが疑われる場合は、CTやMRIによる検査をおすすめします。
Q.光トポグラフィー検査(NIRS)とQEEGは、どちらがよいのですか?
どちらが優れているという比較ではなく、そもそも見ているものが違う検査です。光トポグラフィー検査(NIRS)は近赤外光を使って脳の血流の変化を測る検査で、抑うつ症状の鑑別の補助として用いられます。QEEGは脳の電気活動そのものをとらえ、周波数の特性や部位どうしのつながりを数値化します。ただし、TMSの刺激部位を決めるために確立された検査は、QEEG・NIRSのいずれでもありません。当院でも、QEEGの結果は刺激法を検討する材料のひとつであり、最終的な刺激部位・刺激法は、症状・経過・診察とあわせて医師が判断します。
Q.費用はどのくらいかかりますか?保険は使えますか?
日本ではQEEG検査自体が保険診療として認められていないため、当院でも保険適用外の自費診療です。1回16,500円(税込)、治療前後の脳波の変化を確認する2回セットで22,000円(税込)です。診察料は別途かかります。神田院のみでの実施です。
Q.どの院で受けられますか?
QEEG検査は、神田院(ベスリクリニック東京)のみで実施しています。横浜院では実施していません。TMS治療は神田・横浜の両院で受けられますが、QEEGをご希望の場合は神田院へお越しください。

References

参考にした資料

このページの、QEEGの定義・解析のしくみ・ADHD診断バイオマーカーとしての評価・日本における現状に関する記述は、主に次の資料に基づいています。

  • 日本臨床神経生理学会 神経精神疾患バイオマーカー検討委員会「注意欠如・多動症の診断バイオマーカーとしてのQEEG検査の現状と問題点」臨床神経生理学 53巻6号 694–700ページ、2025年(委員会報告)
  • 上記報告が引用する、米国FDAの機器認可文書、米国神経学会(AAN)の診療勧告、アメリカ神経精神医学会(ANPA)の臨床指針、および関連するメタ解析・系統的レビュー

当院の診療方針、検査の目的、費用、実施体制に関する記述は、上記資料の見解ではなく、当院の方針としてお伝えしているものです。

Supervised by

この記事の監修者

監修医師 田中 伸明
総院長

田中 伸明(たなか のぶあき)

医療法人社団ベスリ会 ベスリクリニック 総院長/専門:心療内科・神経内科・睡眠障害内科

「こころ・脳・身体」の観点から状態を分解し、再発しない形で社会に復帰し、自立して働ける未来を目指す診療を行っています。

Reservation

検査の前に、まず診察を

QEEG検査は神田院(ベスリクリニック東京)のみで実施しています。どの検査が必要か、そもそも必要かを含めて、まず診察でご相談ください。

ベスリクリニック東京(神田)

住所東京都千代田区神田鍛冶町3-2 サンミビル8F
アクセスJR・東京メトロ銀座線 神田駅から徒歩1分
電話03-5295-7555
月〜金11:00–14:30/16:00–20:30(受付は19:30まで)
10:00–18:30(最終受付17:30)
10:00–16:00(受付15:00/学会等で休診の場合あり)
祝日休診

本ページは情報提供を目的としており、診断・治療方針は個々の状態により異なります。QEEGは診断を確定させる検査ではなく、脳波の個別性(個人差)を把握するための検査です。日本ではQEEG検査自体が保険診療として認められていません。TMS治療・ニューロフィードバックは個人差が大きく、効果を約束するものではありません。検査の内容、費用、主なリスクについては、診察の際に個別にご説明します。
監修:田中 伸明(医療法人社団ベスリ会 総院長)/公開日:2026年7月14日/最終更新日:2026年7月28日