About
光トポグラフィー検査とは
光トポグラフィー検査は、近赤外光(近赤外線分光法=NIRS)を使って、大脳皮質の血液中のヘモグロビン濃度の変化を測る脳機能検査です。「トポグラフィー」は地図をつくるという意味で、脳の活動にともなう血流の変化を、波形やマップとして目に見える形にします。
精神科の領域では、抑うつ症状の原因となっている病気を見分ける(鑑別する)ための「補助」として使われます。うつ病・双極性障害・統合失調症などは、いずれも抑うつ状態としてあらわれることがあり、問診だけでは見分けが難しい場合があります。その判断の材料をひとつ増やす、という位置づけです。
光トポグラフィー検査は「うつ病を診断する検査」ではありません。「どのパターンに近いかを、医師の診断材料として加える検査」です。
当院では、光トポグラフィー検査は実施していません。抑うつ症状に対しては、診察とTMS治療(ΘBurstまたはrTMS)による診療を行っています。このページは、検査について正しく知っていただくための一般的な情報としてご用意しています。
Mechanism
何を測っているのか
頭に検査用のキャップ(プローブ)を装着し、頭皮の上から弱い近赤外光を当てます。近赤外光は血液中のヘモグロビンに吸収されやすい性質があり、戻ってきた光を測ることで、脳の活動にともなう血流の変化を推定できます。
検査中には、言語流暢性課題と呼ばれる簡単な課題を行います。「指定された文字から始まる言葉を、思いつくかぎり口に出す」というもので、時間はおよそ60秒です。この課題を行っている間の前頭葉・側頭葉の血流の立ち上がり方や戻り方のパターンを測定し、健常のパターン、うつ病のパターン、双極性障害のパターン、統合失調症のパターンのどれに近いかを検討します。
X線やCTのような放射線被ばくはなく、頭に針を刺すこともありません。明るい部屋で座ったまま受けられ、繰り返し行える点が特徴です。
検査結果は「診断」ではなく、判断材料のひとつ
検査で得られる血流パターンは、単独で病名を決めるものではありません。問診や経過とあわせ、医師が総合的に判断する際の材料のひとつとして使われます。
Scope
検査で分かること・分からないこと
この検査でいちばん誤解されやすいのが、「受ければ病名が分かる」という点です。分かる範囲と、分からない範囲を、はっきり分けて整理します。
分かること(補助情報として)
- ○課題を行ったときの、前頭葉・側頭葉の血流変化のパターン
- ○そのパターンが、健常・うつ病・双極性障害・統合失調症のどれに近い傾向を示すか
分からないこと
- ×病名の確定。この検査だけで精神疾患の有無を断定することはできません
- ×「病気であること」の証明。各種手続きのための証明として、この検査結果だけを使うことはできません
- ×治療の効果や必要性の判定
判別の正確さについては、国内外の研究でおおむね7〜8割程度と報告されています。裏を返せば、パターンが一致しないケースも一定数あるということです。医師は問診・経過・心理検査などの情報とあわせて総合的に判断します。
検査結果が「うつ病のパターン」でも、それだけでうつ病と確定するわけではありません。逆に、パターンが出なくてもうつ病ではないとは言えません。
Background
「これで診断できる」と思われやすい理由
精神科の診断は、問診と経過の観察を中心に行われます。血液検査や画像で病名が決まる検査は、いまのところありません。そうしたなかで、脳の状態を波形やグラフという目に見える形にできるこの検査は、「これで客観的に分かるのではないか」という期待とともに受けとめられてきました。
ただ、この検査に与えられてきた役割は、はじめから医師の診断を補助することにとどまっています。
判別の精度についても、日本の研究で示された傾向は、その後、海外の研究でもおおむね再現されています。血流のパターンに違いがあること自体は、繰り返し確認されている、といってよいと思います。ただし精度は、どの研究でも7〜8割程度という範囲に落ち着いており、この検査の結果だけで病名を決められる水準には至っていません。専門家のあいだでも、どこまでを検査に委ねてよいかについては、慎重な議論が続いています。
「見える」ことと「決まる」ことは、別のことです。グラフが出るからといって、そのグラフが診断そのものになるわけではありません。
Flow
検査の流れと所要時間
-
1
診察・検査の判断
検査を行う意味があるかどうかを、まず医師が判断します。
-
2
説明と同意
検査の目的と限界について説明を受けます。
-
3
検査
キャップを装着し、言語流暢性課題を行います。準備を含めておおむね10〜15分程度です(心理検査などを併せて行う場合、全体の所要時間は長くなります)。
-
4
結果の説明
医師が他の情報とあわせて説明します。結果の説明までに日数を要する場合もあります。
痛みを伴う検査ではありませんが、キャップの装着感や、課題に取り組むことへの緊張を感じる方はいます。
なお、この検査を実施している医療機関は限られており、受けられる条件や費用、結果の説明までの流れは医療機関ごとに異なります。当院では本検査は実施していませんので、検査をご希望の場合は、実施している医療機関にご確認ください。当院では、抑うつ症状の診察とTMS治療を行っています。
Before You Decide
検討するときに知っておきたいこと
検査は「答え合わせ」ではありません
結果は医師の診断を助ける材料のひとつであり、問診や経過の観察に取って代わるものではありません。
「見える結果」の価値と、注意したい点
グラフという形になることで、本人や家族が状態を受け入れやすくなるという声がある一方、数値やグラフだけが独り歩きし、診断名が決まったかのように受け取られてしまうことがあります。
検査は治療の代わりにはなりません
抑うつ症状が続いているなら、まず診察を受け、経過を医師と共有することが優先されます。
測定できる範囲には限りがあります
この方法で見ているのは脳の表面に近い部分の血流であり、脳の深いところの活動を直接とらえているわけではありません。
FAQ
よくある質問
Supervised by
この記事の監修者
田中 伸明(たなか のぶあき)
医療法人社団ベスリ会 ベスリクリニック 総院長/専門:心療内科・神経内科・睡眠障害内科
「こころ・脳・身体」の観点から状態を分解し、再発しない形で社会に復帰し、自立して働ける未来を目指す診療を行っています。
プロフィール:besli.jp/staff.html / メディア:besli.jp/for-press-media.html
Price
当院のTMS治療の費用
当院のTMS治療(ΘBurstまたはrTMS)は自費診療です。料金は神田・横浜の両院で同額で、診察料は別途かかります。
| 内容 | 回数 | 料金(税込) |
|---|---|---|
| 回数券 | 10回 | 49,500円(1回あたり4,950円) |
| 初回相談料 | 初回 | 11,000円(初回施術は無料) |
| 2回目以降(1回) | 1回 | 6,600円 |
※ ΘBurst・rTMSとも共通の料金です。神田・横浜の両院で同額の自費診療(税込)で、診察料は別途かかります。最新の料金は各院にお問い合わせください。
TMS治療は効果に個人差があり、効果を約束するものではありません。刺激部位の違和感などが生じることがあり、ペースメーカーや体内金属など、受けられない場合もあります。治療の必要性や適応を含め、まず診察でご相談ください。
Consultation
抑うつ症状が続いているなら、
まずはご相談ください
当院では光トポグラフィー検査は実施していませんが、抑うつ症状に対しては、診察とTMS治療(ΘBurstまたはrTMS)による診療を行っています。症状が続いているときは、まず経過を医師と共有することが出発点になります。ベスリクリニック(神田)・ベスリTMS横浜醫院で診療しています。
ベスリクリニック(神田)
ベスリTMS横浜醫院
本ページは光トポグラフィー検査に関する一般的な情報提供を目的としています。当院では本検査は実施していません。検査・治療の適応は個々の状態により異なります。TMS治療は個人差が大きく、効果を約束するものではありません。
監修:田中 伸明(医療法人社団ベスリ会 ベスリクリニック 総院長)