About
「受験うつ」
は怠けではありません
「受験うつ」は、受験期のストレスを背景に生じるうつ状態の通称です。正式な病名ではなく、その名前で診断が下りることはありません。ただし、受験のストレスをきっかけにうつ状態やうつ病を発症することはあり、その場合は「気持ちを切り替える」だけでは回復が難しくなります。
もっとも多く寄せられるのは、「頑張って勉強しているのに集中できない」というご相談です。頭がぼーっとする、朝起きるとだるくて頭が働かない。真面目な方ほど、集中できない自分をストレスに感じ、さらに疲れてしまいます。
成人のうつ病では抑うつ気分や意欲の減退が目立ちますが、若い方のうつでは落ち込みよりもイライラや焦りが前に出やすいという特徴があります。「集中できないだけ」と思っていた状態が、抑うつ症状として説明できることも少なくありません。
あてはまりますか
Mechanism
受験うつの脳の中
勉強のストレスや将来への不安で脳を過度に使い続けると、脳が疲労します。前頭葉の抑制がはたらきにくくなり、不安や恐怖にかかわる神経回路が過剰に活動することで、イライラや焦りが出やすくなると考えられています。
受験ストレスから「集中できない」に至る流れ
若い時期のうつ状態は、背景に双極性障害、発達特性、思春期特有の心の動きなどが隠れていることもあります。当院では診察と心理検査で状態を整理し、他の病態が疑われる場合は、TMS治療ではなく適切な医療機関へのご紹介を行います。
Options
受験うつ治療の選択肢
「受験うつ」という診断名はないため、実際には「うつ状態・うつ病」に対する治療を行います。どれか一つが正解ではなく、状態と受験日程に合わせて組み合わせます。
| 選択肢 | 特徴 | 受験期に考慮すること |
|---|---|---|
| 休養 | 回復の基本。睡眠と生活リズムを整える。 | 「休むと遅れる」不安が強く、実行が難しいことがある。 |
| 心理療法 | 考え方やストレス対処を整理し、再発予防にもつながる。 | 効果が出るまでに時間がかかることがある。 |
| 薬物療法 | 症状によっては有効。主治医の管理下で行う。 | 若年層では賦活症候群など有害事象への注意が必要。主治医と相談しながら調整する。 |
| TMS治療 | 前頭前野へ磁気刺激を行う、薬理作用によらない治療。18歳以上が対象。 | 自由診療。通院回数が必要。若年層での有効性は研究途上。 |
実際の治療方針は診察のうえ、お一人ずつ判断します。
Evidence
「薬の副作用が心配」
受験生・ご家族へ
受験を控えた方から、「薬で眠くならないか」「性格が変わらないか」というご相談をよくいただきます。ここでは、期待をあおらず、現時点で分かっていることをそのままお伝えします。
TMS治療は、頭の外から前頭前野へ磁気刺激を行う治療で、セロトニン系などへの全身的な薬理作用を持ちません。そのため、セロトニン症候群や賦活症候群(アクチベーション・シンドローム)といった薬剤によって生じる有害事象は、TMS単独では起こりません。
ただし、TMS治療に副作用がないわけではありません。日本児童青年精神医学会の声明では、頭皮痛・刺激痛、顔面の不快感、頸部痛・肩こり、頭痛のほか、まれに重篤な有害事象としてけいれん発作が生じうることが明記されています。ペースメーカーや頭部の金属など、受けられない条件もあります。
出典:日本児童青年精神医学会「子どもに対する反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)療法に関する声明」(2024年4月2日)
「薬より安全」「副作用がない」といった言い方はできません。正確には、作用の仕組みが違うため、リスクの種類が違うということです。どちらを選ぶかは、症状の重さ、受験までの期間、これまでの治療歴をふまえて一緒に決めていきます。
TMS
TMS治療とは
TMS治療(経頭蓋磁気刺激)は、磁気によって身体を傷つけることなく脳の特定部位を刺激し、脳の状態を整える治療です。日本では2019年6月に、薬物療法で十分な効果が得られない成人(18歳以上)の中等症以上のうつ病に対して保険診療化されました。当院の受験・勉強ストレスに対するTMS治療は自由診療です。
回数と、受験日程の両立
TMS治療は1回で効果が出ることは少なく、回数を重ねるなかで変化を実感される方が多い治療です。当院では、状態と試験日程を確認したうえで、通院しやすいスケジュールを組みます。試験直前に薬を変更することに不安がある場合も、まずはご相談ください。
薬物療法をすでに受けている方は、自己判断で中断せず、現在の主治医と相談しながら調整することをおすすめします。
Case Reports
受験うつの症例
TMS治療を受けられた方の経過です。症状と経過には個人差があり、同じ結果を保証するものではありません。
18歳・男性
文章が頭に入ってこない
高校3年生になり模試が増えるなか、成績が伸び悩み焦りが強まりました。模試のあとの脳の疲労が強く、翌日は過眠傾向に。前日は寝つくのに3時間以上かかり、当日は動悸がして頭が真っ白になる状態でした。
初診時の心理検査は23点(10点以上で不安が強い状態)。以前は難なく読めた本の内容が頭に入らず、問題文を何度も読み直す状態でした。10日目には心理検査5点となり、13日目には10分程度で入眠でき、朝もすっきり起きられるようになったとお話しされました。
26歳・女性
不眠と過眠を繰り返す(国家試験前)
医学部在学中、卒業試験の頃から生活のほとんどを勉強に費やすようになりました。眠気に耐えて勉強し、疲れたら眠るという生活で、夜は眠りにくく、休日は14時まで寝てしまう状態でした。
初診時の心理検査は21点(10点以上で集中力の低下が強い状態)。強い憂うつ感、だるさ、食欲不振も認めました。試験まで約2週間で集中力を上げたいというご希望があり、初診日からTMS治療を開始。5日目には心理検査7点となり、20日目にはだるさや食欲不振も改善しました。
ご本人が治療を望まれない場合、TMS治療は行いません。週に複数回の通院が必要な治療であり、受験の主体はご本人だからです。ご家族の心配と、ご本人の治療意思は分けて考えます。
Pricing
治療の料金
当院のTMS治療・NM治療は自由診療(自費診療)です。症状や状態に合わせて、単独または組み合わせて治療を行います。実際のプランは診察のうえでご相談します。
初回施術は無料
まずは受けて、体感してから続けるかを決めていただけます。初回相談料は11,000円(税込)です。
TMS治療の料金
| 内容 | 単回(税込) | 10回券(税込) | 1回あたり |
|---|---|---|---|
| TMS治療(rTMSまたはθburst) | 6,600円 | 49,500円 | 4,950円/回 |
組み合わせるアプローチの料金
| 内容 | 単回(税込) | 回数券(税込) | 1回あたり |
|---|---|---|---|
| QEEG(脳波検査) | 16,500円 | 2回 22,000円 | 11,000円/回 |
| SGL(星状神経節近傍レーザー治療) | 2,200円 | 10回 11,000円 | 1,100円/回 |
| PBM(光刺激) | 4,400円 | 10回 33,000円 | 3,300円/回 |
TMS治療は自由診療のため公的医療保険は適用されません。治療内容と主なリスク・副作用は「薬の副作用が心配な方へ」をご確認ください。
FAQ
よくある質問
Supervised by
この記事の監修者
田中 伸明(たなか のぶあき)
医療法人社団ベスリ会 ベスリクリニック 総院長/専門:心療内科・神経内科・睡眠障害内科
「こころ・脳・身体」の観点から状態を分解し、再発しない形で社会に復帰し、自立して働ける未来を目指す診療を行っています。
働く人の心の診療実績
TMS治療(2021年時点)
著書・監修書籍
メディア出演・掲載・講演
※ TMS治療の症例数は2021年時点の数値です。
プロフィール:besli.jp/staff.html / メディア:besli.jp/for-press-media.html
Reservation
受験までの時間を、
不調に奪われないために
まずは診察と心理検査で、いまの状態を一緒に整理します。治療を受けるかどうかは、そのうえで決めていただけます。
ベスリクリニック東京(神田)
ベスリTMS横浜醫院
本ページは情報提供を目的としており、診断・治療方針は個々の状態により異なります。TMS治療は個人差が大きく、効果を約束するものではありません。当院のTMS治療の対象は18歳以上です。
監修:田中 伸明(医療法人社団ベスリ会 ベスリクリニック 総院長)
