Treatment-Resistant Depression / TMS
薬が効きにくい
治療抵抗性うつ病に
TMS治療
抗うつ薬を十分に続けても、症状が残る方がいます。こうした治療抵抗性うつ病(TRD)に対して、TMS治療は国内外の診療ガイドラインで治療選択肢のひとつに位置づけられています。こ
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TMS治療は、一定期間に繰り返し通う必要がある治療です。専用センターに複数の機器をそろえ、平日夜20時まで+土日も診療しています。当院では入院を必要とせず、外来で受けていただけます。1日に複数回の刺激を行う短期集中(aTMS)にも対応しており、仕事を止めずに通うことを想定した体制です。
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東京・横浜に
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東京院は東京駅からアクセスしやすい神田、横浜院は桜木町駅からすぐで横浜駅からも1駅の好立地です。通う回数が多くなりがちなTMS治療だからこそ、通いやすさを大切にしています。
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Self Check
当てはまりますか
「薬を続けているのに、思うように良くならない」と感じている方に多いご相談です。当てはまる項目にチェックを入れてみてください。
About TRD
治療抵抗性うつ病(TRD)とは
うつ病は、抑うつ気分、興味・喜びの喪失、意欲低下を特徴とする精神疾患です。日本では100万人以上が罹患していると推定されています。精神療法、薬物療法、運動療法、高照度光療法、休養などの選択肢があり、中等症以上では抗うつ薬の使用が推奨されています。一方で、薬物治療を行っても寛解に至らない方が一定数いることも知られています。
薬物治療のステップを踏んでも、約10%は寛解に至らない
米国国立精神衛生研究所が実施したSTAR*D試験では、抗うつ薬の変更や増量、増強療法を行っても33.2%の患者さんが十分な寛解を得られなかったと報告されました。この試験には、脱落者がいないことを前提としていた点、参加前から抗うつ薬を使用していた患者さんがいた点という2つの限界がありました。
そこでSakuraiらは、STAR*D試験をIPCW法で重みづけし、Kaplan-Meier推定を用いて累積寛解率を推定しています。その結果、累積寛解率は治療開始から90日で53.8%(95%CI 51.6〜55.9)、180日で74.5%(95%CI 72.1〜76.9)、360日で87.5%(95%CI 82.4〜92.6)と、STAR*D試験の報告より約20%高いと推定されました。それでも、適切な治療ステップを実施しても約10%は寛解に至らないという結果です。
このように、抗うつ薬による薬物治療の効果が乏しいうつ病は治療抵抗性うつ病(treatment-resistant depression:TRD)と呼ばれます。TRDの患者さんは、医療資源の利用率が高く、入院期間や労務不能期間が長く、自傷行為や自殺のリスクが高くなることが知られています。だからこそ、薬の調整だけで行き詰まったときに、別の作用の仕方をする治療を検討する意味があります。
薬物治療から「治療抵抗性」に至るまで
ステップを踏んでも残る層があります
うつ病の診断・抗うつ薬による治療開始
変更・増量・増強療法などのステップ
多くの方は寛解へ(360日で87.5%と推定)
約10%は寛解に至らない=治療抵抗性うつ病
TMS治療を検討する層数値はSTAR*D試験の再解析(Sakuraiら)に基づく推定値です。
研究の対象集団や解析方法によって数値は変わり、個々の患者さんの見通しをそのまま示すものではありません。
中澤亜美・松田勇紀・鬼頭伸輔「うつ病に対する反復経頭蓋磁気刺激療法」ペインクリニック 2025;46(1):95-100
原著:Rush AJ, et al. Am J Psychiatry 2006;163:1905-17(STAR*D)/Sakurai H, et al. World Psychiatry 2024;23:156-7/Bergfeld IO, et al. J Affect Disord 2018;235:362-7/Lundberg J, et al. JAMA Psychiatry 2023;80:167-75
What is TMS
TMS治療とは ── 薬とは違う届き方
TMS(経頭蓋磁気刺激)は、ファラデーの電磁誘導の法則を利用して、手術を伴わずに大脳皮質を刺激する治療法です。医学論文や診療ガイドラインではrTMS(反復経頭蓋磁気刺激)療法と表記されます。刺激の方法により、皮質の興奮性に対して促進性または抑制性に作用することが知られています。
抗うつ薬とTMS治療 ── 届き方の違い
全身に働く薬と、部位を狙う刺激
抗うつ薬
全身をめぐって働く
- 内服し、血流を介して脳へ
- 神経伝達物質の調整
全身性の副作用が生じることがある
TMS治療
狙った皮質へ直接
- 頭皮の上のコイルから磁気刺激
- 皮質興奮性への促進性・抑制性の作用
主な副作用は刺激部位周辺に生じやすい
作用の届き方が異なるため、薬で十分な効果が得られなかった場合の選択肢として検討されます。
Evidence
有効性を示した研究
うつ病に対するTMS治療の有効性については、多くの臨床研究が報告されています。
| 研究 | デザイン・対象 | 主な結果 |
|---|---|---|
| Hydeら(2022) | 大うつ病性障害に対するTMS治療と偽刺激を対照としたメタ解析(42試験・2,336人) | 実刺激群は偽刺激群と比較して、有意に抑うつ症状の改善を認めた。標準化平均差(SMD)は−0.60(95%CI −0.78〜−0.42)で、中等度の効果量 |
| Vidaら(2023) | 少なくとも2種類の抗うつ薬治療で反応が乏しいTRDを対象に、背外側前頭前野(DLPFC)への高頻度刺激と偽刺激を対照としたメタ解析(19試験・854人) | 実刺激群は偽刺激群と比較して、反応率のリスク比2.25(95%CI 1.71〜2.97)、寛解率のリスク比2.78(95%CI 1.40〜5.53)と有意に高かった |
| Sackeimら(2020) | NeuroStar® TMS治療装置の大規模TMSレジストリ試験 | PHQ-9の反応率は57.7〜68.9%、CGI-Sの反応率は69.4〜83.1% |
※ Hydeらのメタ解析は患者集団が多様で、TRDの定義や治療プロトコルにも相違があり、結果の妥当性と一般化可能性には制限があります。Sackeimらはレジストリ(実臨床の登録データ)に基づく研究で、偽刺激との比較試験ではありません。
「反応率のリスク比2.25」は、偽刺激と比べて反応が得られた人の割合が約2.25倍だったという意味であり、「2.25倍良くなる」「必ず効く」という意味ではありません。95%信頼区間(95%CI)は推定の幅を示し、幅が広いほど推定の不確かさが大きくなります。寛解率のリスク比2.78は信頼区間が1.40〜5.53と広く、効果の大きさの推定には幅がある点にご留意ください。
出典:Hyde J, et al. Mol Psychiatry 2022;27:2709-19/Vida RG, et al. BMC Psychiatry 2023;23:545/Sackeim HA, et al. J Affect Disord 2020;277:65-74)
Comparison
「薬を変える」のか、
「TMS治療を足す」のか
TRDに対する実臨床の選択肢には、抗うつ薬の変更、抗精神病薬による増強療法、TMS治療による増強療法があります。これらを直接比較したランダム化比較試験は多くなく、どれが最も有用かについての結論には至っていません。
ASCERTAIN-TRD試験(Papakostasら, 2024)
抗うつ薬治療中のTRD患者278人を、ベンラファキシンへの切り替え群、アリピプラゾールによる増強療法群、TMS治療群に1:1:1で割り付け、8週にわたり毎週MADRS(Montgomery-Åsbergうつ病評価尺度)を評価した無作為非盲検試験です。対象は18〜80歳でうつ病と診断され、少なくとも12週間は症状が遷延している患者さんで、治療開始前のMADRSが20点以上、治療開始後のMADRS改善が50%未満である方としました。
| 比較 | 8週後のMADRS変化 | 結果 |
|---|---|---|
| ベンラファキシン切替 vs アリピプラゾール増強 | −13.18 vs −14.9 | p=0.069、有意差を認めなかった |
| TMS治療 vs ベンラファキシン切替 | −17.39 vs −13.22 | p=0.015、TMS治療群で有意にMADRSが低下 |
※ MADRSは点数が下がるほど症状が軽いことを示します。
| 安全性 | ベンラファキシン群 | アリピプラゾール群 | TMS治療群 |
|---|---|---|---|
| 有害事象の発生 | 57.0% | 49.5% | 39.3% |
| 有害事象による脱落 | 2名 | 1名 | 0名 |
※ 有害事象の発生率の3群比較はp=0.062でした。
この結果から、TRDに対しては抗うつ薬の変更よりも、TMS治療やアリピプラゾールによる増強療法のほうが有用性が高いことが示されました。「薬を変えても変わらなかった」という経験がある方にとって、TMS治療を検討する根拠のひとつになります。
Papakostas GI, Trivedi MH, Shelton RC, et al: Comparative effectiveness research trial for antidepressant incomplete and non-responders with treatment resistant depression (ASCERTAIN-TRD) a randomized clinical trial. Mol Psychiatry 2024;29:2287-95
TMS治療群には、米国食品医薬品局(FDA)承認のプロトコル(刺激部位:左背外側前頭前野、刺激強度120%運動閾値、刺激頻度10Hz、刺激回数3,000回/日)に基づき、最初の5週間は週5回、その後の3週間は週2回に漸減して治療が行われました。
Guidelines
診療ガイドラインでの位置づけ
TMS治療は、国内外の診療ガイドラインで治療選択肢として位置づけられています。ただし推奨の強さはガイドラインによって異なります。実際の記載に沿って整理します。
Canada / CANMAT
2023年改訂 CANMATガイドライン
TMS治療は、第一選択となる心理療法と薬物治療が無効であったTRD患者に対して推奨されています。さらに、薬物療法に対する忍容性が低い場合や、以前のエピソードでTMS治療に効果があった場合にも、第一選択治療として推奨されています。精神病症状や緊張病症状といった重篤な症状を除き、TMS治療は侵襲性が低いため、一般的に電気痙攣療法(ECT)よりも先に検討すべき治療法とされています。
Japan / 日本うつ病学会
2024年改訂 うつ病診療ガイドライン
急性期療法としてのTMS治療は、精神病症状の特徴を伴わない、薬物療法抵抗性うつ病に対して、行うことを弱く推奨するとされました。維持療法としてのTMS治療の継続も弱く推奨するとされています。一方で、維持療法についてはこれまでに大規模で質の高い二重盲検ランダム化シャム比較試験による検証が行われておらず、日本では先進医療として一部の医療機関でしか実施できないため注意が必要です。
診療ガイドラインの「弱く推奨する」は、行うことが選択肢として妥当だが、患者さんの価値観や状況によって選択が分かれうるという意味合いで用いられます。「必ず行うべき」でも「行うべきでない」でもありません。どの治療を選ぶかは、これまでの治療経過、症状の内容、通院の負担、費用などを含めて、診察のうえで一緒に検討していく必要があります。
出典:中澤亜美ほか「うつ病に対する反復経頭蓋磁気刺激療法」ペインクリニック 2025;46(1):95-100
Safety
安全性と副作用
Mutzらによる非外科的脳刺激療法の系統的レビューとネットワークメタ解析では、左前頭前野に対する高頻度刺激の実刺激群と偽刺激群を比較したペアワイズメタ解析で、治療中断率は同程度でした(オッズ比0.90、95%CI 0.64〜1.26)。一方で、副作用がないわけではありません。
| 主な副作用 | おおよその頻度 |
|---|---|
| 頭皮痛・刺激痛 | 約30% |
| 顔面の不快感 | 約30% |
| 頭部痛・肩こり | 約10% |
| 頭痛 | 10%未満 |
| 痙攣発作(重篤な副作用) | 10,000セッションに0.3件と非常に稀 |
※ 重篤な副作用として痙攣発作が挙げられます。頻度は非常に稀とされていますが、TMS治療開始前には、てんかんや痙攣発作の既往、痙攣発作のリスクを高める頭蓋内病変、痙攣発作の閾値を低下させる薬物の服用がないかを十分に確認する必要があります。
副作用の多くは刺激部位周辺に生じるもので、抗うつ薬でみられるような全身性の副作用とは性質が異なります。ただし、「副作用がない治療」ではありません。ASCERTAIN-TRD試験でも、TMS治療群の39.3%に有害事象が発生しています。
Mutz J, et al. BMJ 2019;364:l1079/Taylor JJ, et al. Brain Stimul 2021;14:965-73(痙攣発作の頻度)/中澤亜美ほか, ペインクリニック 2025;46(1):95-100
Flow
受診の流れ
初診から治療開始までの一般的な流れです。実際の内容は状態によって異なります。
-
初診・問診
これまでの経過、服用した抗うつ薬の種類・量・期間とその反応、現在の症状、既往歴などをうかがいます。他院に通院中の方も、現在の通院を続けたままご相談いただけます。お薬手帳や、これまでの通院先の紹介状・診療情報提供書がある場合はご持参ください。治療歴が分かるほど、次の選択肢を具体的に検討できます。
-
禁忌事項の確認と適応の判断
金属やペースメーカーの有無、痙攣発作の既往、服薬内容などを確認します。TMS治療の適応の有無は診察のうえで判断します。
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治療方針・費用のご説明
TMS治療を行う場合の進め方、通院頻度についてご説明します。ご不明点はここで確認いただけます。
-
治療開始・経過の評価
治療を開始し、評価尺度を用いて経過を確認しながら、継続・調整・中止を判断します。当院では外来で行うため入院の必要はなく、通院しながら続けていただけます。効果が乏しい場合に漫然と続けることはしません。
Pricing
治療の費用
当院のTMS治療は保険適用外の自由診療(自費診療)です。初回相談料は11,000円(税込/初回施術は無料)で、神田・横浜の両院とも同額です。
| 内容 | 初回 | 単回(2回目以降) | 10回券(1回あたり) |
|---|---|---|---|
| TMS(θburst/rTMS) | 無料 | 6,600円 | 4,950円/回(49,500円) |
※ 神田・横浜 共通の自由診療(自費)料金(税込)。別途、初回相談料11,000円(税込)がかかります。当院のTMS治療は保険適用外のため、健康保険は使えず、費用は全額自己負担となります。最新の料金は各院にお問い合わせください。
回数券には有効期限があります。TMS回数券は初回購入から1か月、2回目購入分は3か月、3回目以降の購入分は6か月が目安です。回数券の払い戻しはできません。
WEB予約を推奨しています。WEB予約は予約時間の2時間前まで、電話・受付・LINEでのご予約は2日前までキャンセル可能です。前日・当日のキャンセルは1回分の施術料金を頂戴する場合があります。
FAQ
よくある質問
Q.「治療抵抗性うつ病」かどうかは、どう判断するのですか?
Q.他院に通院中ですが、当院でTMS治療を受けられますか?
Q.入院は必要ですか?痛みはありますか?
Q.抗うつ薬はやめることになりますか?
Q.どのくらいの期間・回数が必要ですか?
Q.必ず良くなりますか?
Q.受けられない場合はありますか?
Q.電気けいれん療法(ECT)とはどう違いますか?
Q.効果が出た後、続ける必要はありますか?
Q.どちらの院で受けられますか?診療時間は?
Q.初診ではどんなことをしますか?
Supervised by
この記事の監修者
田中 伸明(たなか のぶあき)
医療法人社団ベスリ会 ベスリクリニック 総院長/専門:心療内科・神経内科・睡眠障害内科
「こころ・脳・身体」の観点から状態を分解し、再発しない形で社会に復帰し、自立して働ける未来を目指す診療を行っています。
働く人の心の診療実績
TMS治療(薬に頼らないうつ治療)
著書・監修書籍
メディア出演・掲載・講演
プロフィール:besli.jp/staff.html / メディア:besli.jp/for-press-media.html
Reservation
「薬を変えても
変わらなかった」方へ。
まずは問診で、これまでの治療経過を一緒に整理します。TMS治療が適しているかどうかも含めて、診察のうえでご相談します。他院に通院中の方もご相談いただけます。お薬手帳や紹介状がある方はご持参ください。
ベスリクリニック東京(神田)
ベスリTMS横浜醫院
本ページは情報提供を目的としており、診断・治療方針は個々の状態により異なります。TMS治療は効果を約束するものではなく、対象・禁忌が定められています。掲載した研究結果は研究集団全体のもので、個々の方の効果を示すものではありません。当院のTMS治療は保険適用外の自由診療です。診療時間・料金は変更されることがありますので、最新の情報は各院の公式サイトでご確認ください。
主要参考文献:中澤亜美・松田勇紀・鬼頭伸輔「うつ病に対する反復経頭蓋磁気刺激療法」ペインクリニック 2025;46(1):95-100
監修:田中 伸明(医療法人社団ベスリ会 ベスリクリニック 総院長)