Dementia / MCI & TMS
もの忘れの奥に、
うつ症状が隠れていませんか
認知症・軽度認知障害(MCI)に対するTMS治療(経頭蓋磁気刺激)という選択肢。当院がTMS治療をご提案するのは「うつ症状を伴う認知機能低下」です。何がわかっていて、何がまだわかっていないのかを、正直にお伝えします。
Our Scope
はじめに ── 当院が行うこと・行わないこと
認知症とTMS治療を検索されている方に、最初にお伝えしたいことがあります。TMS治療で認知症が治る、進行が止まる、とは言えません。認知症そのものを対象とした治療として確立した段階にはなく、国内で認知症に対する保険適用もありません。
当院がTMS治療をご提案するのは「うつ症状を伴う認知機能低下」です
もの忘れや思考力の低下の背景に、うつ症状が隠れていることは少なくありません。うつ状態では記憶力・集中力・判断力が落ち、認知症とよく似た状態を示すことがあります。この「うつ症状によって落ちている部分」に対しては、TMS治療が選択肢になり得ると当院は考えています。診察と心理検査で状態を分解し、その方に適した道筋をご提案します。
当院で行うこと
- ○うつ症状を伴う認知機能低下へのTMS治療(前頭前野/DLPFC)
- ○診察・心理検査による、うつ症状と認知機能低下の切り分け
- ○PBM(経頭蓋近赤外光照射)の併用 ※任意・追加料金・国内未承認機器
- ○ご家族だけのご相談・経過のヒアリング
- ○認知症の精査・治療が優先される場合の、専門医療機関のご案内
当院で行わないこと
- ×認知症そのものを治す・進行を止めることを目的とした治療
- ×研究段階で注目される楔前部(precuneus)への刺激
- ×認知症の確定診断(画像診断・専門的精査)
- ×効果の保証。TMS・PBMとも個人差の大きい治療です
Check
ご家族が最初に気づく、小さな変化
「年のせい」で片づけてしまう前に。ご本人よりも、そばにいるご家族のほうが先に気づくことがあります。次のような様子はありませんか。
これは診断ではありません。ただ、意欲の低下・不眠・気分の落ち込みが並んでいる場合、うつ症状が認知機能低下に重なっている可能性があります。そこは治療でアプローチできる部分です。
Mechanism
もの忘れとうつ症状の関係
「認知機能が落ちている」と見える状態には、いくつもの原因が重なっています。加齢や病気による変化に加えて、うつ症状・不眠・薬の影響といった、働きかけられる要因が混ざっていることがあります。
うつ状態では、意欲・集中・段取りを担う背外側前頭前野(DLPFC)のはたらきが落ちると考えられています。その結果、記憶そのものより先に「頭に入らない」「決められない」「気力がわかない」という形で認知機能の低下があらわれます。ご家族から見ると、これは認知症の始まりと見分けがつきません。
また、うつ病の既往がある方は認知症を発症しやすいことが複数の研究で報告されています。うつ症状をそのままにしないことには、それ自体に意味があると当院は考えています。
TMS治療は認知症そのものを治す治療ではありません。当院は、うつ症状によって落ちている認知機能に働きかけることを目的としています。
MCI(軽度認知障害)とは
正常と認知症の中間にあたる状態です。もの忘れは明らかであるものの、日常生活はご自身でおおむね送れている段階を指します。認知症へ移行する方がいる一方で、正常な状態に戻る方も少なくないとされています。だからこそ、背景に何が重なっているのかを分けて考えることに意味があります。
Research
研究でわかっていること、まだわからないこと
認知症に対するTMS治療の研究は、世界で進んでいます。ただし、研究で行われていることと、実際のクリニックで受けられる治療は同じではありません。ここでは代表的な2つの研究を、その違いも含めてご紹介します。
記憶に関わる脳のネットワーク(デフォルト・モード・ネットワーク)の中心にある楔前部(せつぜんぶ/precuneus)を狙って20Hzの磁気刺激を行う手法が、近年注目されています。軽度〜中等度のアルツハイマー型認知症の患者さんを対象とした無作為化比較試験では、52週間の経過で、偽刺激群と比べて進行の指標(CDR-SB)の悪化が有意に抑えられたと報告されました。日常生活動作や認知機能の指標も治療群で良好で、脳の萎縮の進み方が緩やかだったとする報告もあります。
出典:Koch G, et al. Alzheimer’s Research & Therapy, 2025.(先行研究:Koch G, et al. Brain, 2022)
国内では、大阪大学が帝人ファーマと共同開発した臨床研究用の機器を用いて、日本人のアルツハイマー型認知症を対象とした探索的臨床試験が行われました。認知症のスクリーニング検査であるMMSEが30点満点中15〜25点(軽度〜中等度)の方では、偽刺激と比較して有意な認知機能の改善が認められ、その効果は約20週間続いたと報告されています。認知症治療薬であるドネペジルと比べても劣らず、むしろ効果のあらわれ方が早く、持続性が示唆されたとされています。
出典:大阪大学「日本人アルツハイマー型認知症を非侵襲の大脳刺激で改善」(2022年10月)研究発表ページ
このほか、軽度認知障害やアルツハイマー型認知症を対象としたrTMSの臨床試験をまとめた解析でも、認知機能の指標に改善が報告されています。ただし効果の大きさは研究によってばらつきがあり、刺激部位や回数も統一されていません。認知症の標準治療として確立した段階ではないというのが、現時点の正確な言い方です。
About TMS
TMS治療とは、当院が刺激する場所
TMS治療は日本語で経頭蓋磁気刺激と呼ばれ、磁気によって身体を傷つけることなく脳の特定部位を刺激し、はたらきを調整する治療です。日本では2019年6月に、施設基準を満たした医療機関での治療抵抗性うつ病に対して保険診療化されています。
当院が刺激するのは、意欲・集中・段取りに関わる背外側前頭前野(DLPFC)です。まず左側への高頻度刺激を検討し、不安や焦燥感が強い場合には右側への低頻度刺激も選択肢とします。研究段階で注目されている楔前部(precuneus)への刺激は、当院では行っていません。
当院ではハーバード大学TMSコースを修了した医師の監修のもと、精神科教授・神経内科専門医・臨床工学技士と協同し、5,000名以上の日本人症例をもとにTMS治療を行っています。
対象となる方・ならない方
ご相談いただきたい方
- —もの忘れとあわせて、気分の落ち込み・意欲の低下・不眠がある
- —「認知症かもしれない」と言われたが、うつ症状の関与も気になる
- —お薬の副作用が心配、あるいは効果が実感できていない
- —ご本人が受診を渋っており、まず家族が相談したい
受けられない・慎重な判断が必要な方
- —心臓ペースメーカー、人工内耳、頭蓋内の金属がある方
- —けいれん発作の既往、脳の器質的な病変がある方
- —認知症の精査・治療が優先されると判断される場合
- —診察・検査にご協力いただくことが難しい状態の場合
副作用として、刺激部位の痛み・違和感、頭痛などが生じることがあります。頻度は高くありませんが、けいれん発作のリスクが報告されています。服用中のお薬もリスクに関わるため、初診時に必ずお知らせください。
回数の目安
TMS治療は個人差の大きい治療です。1回で効果が出ることはほとんどなく、10回程度から変化を実感される方が多くいらっしゃいます。一方で、ご高齢の方では、神経可塑性(脳が変化する力)が低下しているため効果があらわれるまでに時間がかかりやすく、当院では30回前後を一つの判定の目安と考えています。効果を保証するものではありません。
Combination
PBM(近赤外光)を組み合わせるという考え方
当院では、ご希望に応じてPBM(経頭蓋近赤外光照射)をTMS治療に併用することができます(任意のオプション・追加料金)。この2つは同じ効果を足し算しているのではなく、脳の別々の階層に働きかけています。
脳のエネルギーと血流を整える
担当する階層:代謝・血流・炎症
頭皮の上から近赤外光を当てると、光が細胞のミトコンドリアに届き、エネルギー産生に関わる酵素のはたらきを助けると考えられています。
- —細胞のエネルギー(ATP)産生を高める
- —局所の脳血流を増やす
- —脳の慢性的な炎症を抑える方向に働く
脳の回路の使い方を書き換える
担当する階層:ネットワーク・シナプス
磁気によって脳の神経細胞を直接刺激し、神経どうしのつながり方(シナプス)と、脳のネットワークのバランスを調整します。
- —意欲・集中に関わる前頭前野(DLPFC)を刺激する
- —神経の可塑性(変化する力)を引き出す
- —ネットワークのバランスを整える
なぜ組み合わせるのか ── 「土を耕してから、種を蒔く」
TMS治療が引き出そうとしている神経の可塑性は、大量のエネルギーを必要とします。ところが認知機能が低下した脳では、エネルギー産生や血流そのものが落ちていることが少なくありません。種を蒔いても、土が痩せていれば芽は出にくい。先にPBMで脳のエネルギーと血流という土台を整え、そのうえでTMSによって回路に働きかける。これが、当院が2つを組み合わせる理由です。
PBMとTMS治療は、脳の異なる階層に働きかけると考えられています。図は考え方を示したもので、効果を示すものではありません。
併用の進め方と、使用する機器
PBMは頭皮の上から近赤外光を照射する方法(経頭蓋)で行い、痛みはほとんどありません。土台を整えてから回路に働きかけるという考え方から、PBMを先に照射し、そのうえでTMS治療を行う流れを基本としています。TMS治療単独をご希望の方は、TMS治療のみでも治療を行えます。
Price
TMS治療の費用(神田・横浜 共通)
認知機能低下に対するTMS治療は自由診療(自費診療)です。国内でTMS治療が保険適用となっているのは、施設基準を満たした医療機関での治療抵抗性うつ病に限られます。初回相談料は11,000円(税込/初回施術は無料)。料金は神田・横浜の両院とも同額です。
回数券(まとめて受けるとお得です)
| 内容 | 回数 | 料金(税込) | 1回あたり |
|---|---|---|---|
| TMS治療(ΘBurstまたはrTMS) | 10回 | 49,500円 | 4,950円/回 |
※ 神田・横浜 共通の自由診療(自費)料金(税込)。
単回料金(1回ごとの料金)
| 内容 | 初回 | 2回目以降(税込) |
|---|---|---|
| TMS治療(ΘBurstまたはrTMS) | 無料 | 6,600円 |
※ 神田・横浜 共通の自由診療(自費)料金(税込)。初回施術は無料です。
オプション:PBM(経頭蓋近赤外光照射)の併用
| 内容 | 単位 | 料金(税込) |
|---|---|---|
| PBM併用(TMS治療に追加) | 1回 | 4,400円 |
| PBM併用 10回券 | 10回 | 33,000円(1回あたり3,300円) |
※ PBMの併用は任意のオプションです。TMS単独での治療も選べます。国内未承認機器を用いた自由診療(自費)です。
※ 表示はすべて自由診療(自費)料金(税込)です。回数の目安(30回前後で判定)を踏まえると、10回券を3回分ご利用の場合の総額は148,500円(税込)が一つの目安になります。最新の料金は各院にお問い合わせください。
FAQ
よくある質問
Supervised by
この記事の監修者
田中 伸明(たなか のぶあき)
医療法人社団ベスリ会 ベスリクリニック 総院長/専門:心療内科・神経内科・睡眠障害内科
「こころ・脳・身体」の観点から状態を分解し、再発しない形で社会に復帰し、自立して働ける未来を目指す診療を行っています。
プロフィール:besli.jp/staff.html / メディア:besli.jp/for-press-media.html
Reservation
「年のせい」と決める前に、
一度、切り分けてみませんか。
診察と心理検査で、もの忘れの背景に何が重なっているのかを整理します。ご家族だけのご相談も承っています。初回施術は無料です。
ベスリクリニック東京(神田)
ベスリTMS横浜醫院
本ページは情報提供を目的としており、診断・治療方針は個々の状態により異なります。認知機能低下に対するTMS治療・PBMは保険適用外の自由診療(適応外使用・未承認機器の使用を含む)であり、効果には個人差があります。効果を保証するものではありません。
監修:田中 伸明(医療法人社団ベスリ会 総院長)/最終確認日:2026年7月14日