TMS治療と脳内物質セロトニンで「怒りにくい人」になる!

「些細なことで、イライラしてしまう」「物事が思い通りにいかないとイライラする」感情で怒った自分に対し落ち込むこともあるかと思います。

いらいらすると、つい人に強くあたったり、そんな自分に嫌悪感を抱いてしまったり悪循環に陥ってしまいます。

当院では以下のような経験やお悩みをお聞きすることがあります。

・部下の前でイライラし、つい不機嫌な態度を取ってしまった。

・子供の前で、夫婦喧嘩をしてしまった。

・友人と話し些細なことでカチン!ときた。口論になってしまって気まずい・・。

・上司に理不尽なことを言われたけれど、我慢するしかない。でもモヤモヤする。

・仕事がうまくいかなくて、イライラ。仕事が向いてないのかしら?など

 「怒り」「いらいら」の原因はストレス

ストレスとは?

「外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態のこと」をいいます。ストレスというと主に「精神面」のことを中心に言われていますが、要因は大きくわけて4つあります。


ストレス反応は消化管の機能や免疫機能を犠牲にして一時的に身体の活動力を引き上げ限界まで高めている状態になっています。しかし、身体には強い負荷がかかっているため、長期間続くと身体は疲弊してしまいます。

そのほかの原因として、更年期障害、睡眠不足、PMS・PMDD(月経前症候群・月経前不快気分症候群)ネット依存など各種依存症などが原因として挙げられます。

人が生きて行くために必要な神経・・・自律神経とは?

人間の身体にはたくさんの神経があり、内臓の働きや代謝、体温などの機能をコントロールしています。自律神経は自分の意思とは関係なく24時間働き続けている神経のことをいいます。昼間や活動しているときに活発になる「交感神経」と、夜間やリラックスしているときに活発になる「副交感神経」の2種類があります。

2つの神経がどう作用するかによって心や体調は変わります。

この神経はストレスやホルモン分泌に関与する役割を持っています。

ストレスを感じることで、交感神経が過剰に働いてイライラしたり、不安な気持ちになったりします。心を落ち着かせる副交感神経が優位に働くよう意識的にリラックスすることが必要です。

TMS治療はこのような状態にある脳にアプローチし自律神経の調整をします。

イライラする症状に対しての当院で治療効果

方法
※2020年6月~2022年2月までに当院へ来院し、TMS治療を実施した全患者
男女比:1:2
TMS治療初回時・10回目・20回目・30回目の心理検査の比較分析

「日本人に合わせた世界標準のTMS治療」を行うため日々データを積み重ね分析し、治療を改善しています。

治療をされた患者様からは、自覚症状として「イライラすることがあっても、聞き流すことができるようになった。」「以前に比べたらイライラする機会が減った。」「気持ちをゆったり持つことができ、焦らなくなった」など、効果を実感されています。

 TMS治療とは?

TMS(Transcranial Magnetic Stimulation:経頭蓋磁気刺激法)は、人間の感情に大きく関わる背外側前頭前野を含む前頭葉を「磁気刺激」によりケアする治療法です。

磁気により身体を傷つけることなく脳細胞を刺激することで脳の治療ができる副作用の少ない新しい治療です。

「怒り」「イライラ」があるときの脳の状態とは?

「怒り」や「イライラ」「不安」などネガティブ感情は脳の奥にある扁桃体の働きが関与しているといわれています。左右対称にあり、左は主に自己感情を作り出す役割、右は他者の感情をキャッチする役割をします。扁桃体は危険やストレスに対していつでも対応できるよう厳戒態勢を取っています。

危険にさらされると、扁桃体はコルチゾールやノルアドレナリンなどのストレスホルモンを分泌するよう指令を出します。心拍数や血圧が上昇し身体は緊張状態となり、脳も興奮状態となります。

このメカニズムをコントロールしているのが、前頭前野にある背外側前頭前野であり、ここが機能低下に陥ると扁桃体も興奮し、イライラや怒り、不安な気持ちが起こります。

当院のTMS治療の対象とならない方

  1. 精神科入院歴がある
  2. 死や自殺に対する思考が強い
  3. スタッフ、他患者さんに対する暴言・暴力・易怒性がある
  4. 意思疎通の困難があり、入院治療や精神科病院等での治療が進められる場合

※必要に応じて専門的な医療機関の受診をおすすめします

人間の感情に関わる神経伝達物質

 精神活動(不安・怒り・恐怖など)が行われているときは大脳辺縁系が活発に働いています。前頭葉は人間やサルなどの高度な生物で発達した部位です。不安や恐怖を感じてもパニックにならずに済んでいるのは、前頭葉がよく働いて冷静な心を取り戻せているからと言われています。

感情(情動)に関わる脳内物質は代表的なものでドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンの3種類あります。

各物質の大まかな分布図です。

  ドーパミン(快の情動・ポジティブな気持ち)

ドーパミンを分泌してくれるドーパミン神経は中脳の腹側被蓋野というところにあります。

性や食など生存に不可欠の本能行動に関わっています。異性を求めるココロ、おいしいものを食べたいココロなどを作り出し、そこを刺激すると性や食に伴う快感や、好ましい感情が誘発されます。

②   ノルアドレナリン(不安な気持ちをコントロール・危機管理センターの役割)

生命の危険や各種のストレス刺激が加わるとノルアドレナリン神経が興奮します。脳の橋にある青班核から脳全域に投射されます。

例えば、みなさんもご経験があるかと思いますが、寝ている人を起こすときに「大声で起こす」(聴覚刺激)や身体を揺り動かし機械刺激を与え(体性感覚刺激)起こすと不快な気持ちになると思います。予期せぬ時間で起こされるという行為は多量のコルチゾールが分泌され非常にストレスになります。日常生活で一番分泌が多い時間は朝です。

このような刺激は身体の内部の変化にも反応します。生命危機状態でショックで血圧が下がる、低血糖になる、窒息して酸素欠乏になる、などの生命が危険に陥るような変動もノルアドレナリン神経を興奮させます。大脳皮質を強く活性化し覚醒レベルを上げ、全身に警戒信号を送ります。覚醒状態にするだけでなく、様々なストレスを回避するための行動をさせたり自律神経(副腎からコルチゾールを分泌する)の反応も引き起こします。

長いストレスが続くとノルアドレナリン神経が暴走し、パニック障害になったりします。コルチゾールも多量に分泌され免疫系・中枢神経系・代謝系など身体の様々な機能に影響します。

③   セロトニン (平常心を保つ役割)

セロトニン神経は脳幹の縫線核に数万個あり、脳の広範囲に投射して情報伝達をします。セロトニンは快の情動・ポジティブな気持ち・性や食に関与するドーパミン神経や不安・ネガティブな感情・ストレス反応に関与するノルアドレナリン神経を抑制して平常心にしてくれます。

セロトニン神経が弱ったり、前頭葉の背外側前頭前野の活動が低下することで抑うつ症状・各種依存症・不安障害が出現します。

参考・引用文献

・有田秀穂 <うつ・キレるを治す>トレーニング 株)宝島社 2004年7月15日 P.95

・有田秀穂 「脳ストレス」に強くなる!セロトニン睡眠法 株)青春出版社 2011年6月5日 P.188

症状を再発させないためには?

TMSは万能ではありません。一時的によくなっても社会環境の変化、ストレスの蓄積、脳疲労などで再発する可能性があります。 日頃から、セロトニンを安定して分泌できるように、セロトニン神経を鍛えることが必要です。TMS治療を行いながら、生活習慣を改善していくことが重要になってきます。

セロトニンが安定して分泌されると、睡眠物質であるメラトニンも増え、質のよい眠りを持つことができココロにゆとりのある生活を目指せます。

初診をご希望の場合はお問い合わせフォームよりお問い合わせください。