5/8(日)検査分より、中国渡航検査は4部制となります。
①9:00-11:00→13:00お渡し
②11:00-13:00→15:00お渡し
③13:00-15:00→17:30お渡し
④16:30-18:00→翌日9:00お渡し
2022/2/28搭乗分より、中国渡航に対する新型コロナウイルス陰性証明書の要件が変わりました
詳しくはこちらの大使館HPより詳細をご覧ください。
[2020.10.15]
新型コロナウイルスの検査と言えばPCR検査や抗原検査がよく話題に上り、希望者がすぐに検査を受けられるようにすべき、とか、全国民に実施すべきなどと言う意見も聞かれます。医師の立場からこれらの話を聞いていると、検査結果をどう判断するかということに関して、一般の方の間では(または医療関係者の中でも)誤解があるのではと感じることが多くあります。この記事では、特に多くの誤解が生じていると思われる検査結果の解釈についての話題を取り上げます。※この記事は2020年10月に執筆されたものです
前半は高精度の検査結果の解釈について一般論を述べ、後半では新型コロナウイルス感染症のPCR検査の具体例を考えていきます。
✓よくある誤解:「検査の結果が陽性」と言われただけでその病気にかかっていると判断してしまう
✓正しい理解:検査結果だけで病気の有無を判断するのではなく、診断については医師に相談する
✓新型コロナウイルスのPCR検査では、検査陰性はその時点で感染していない有力な証拠になる
キーワード:検査診断学、陽性、陰性、感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率、検査前確率、PCR検査
新型コロナウイルスの例でいえば、「PCR検査で陽性だった」と言われれば、その人は新型コロナウイルスに感染している、と即座に判断される方がほとんどだと思います。しかし、科学的に見ればこれは全くの誤解です。どんな検査でも、その結果のみで即座に何かの病気の診断になるということはありません。検査を受ける前の状況、つまり、その地域の病気の有病率(全人口中、何人がその病気を罹患しているのか)や、その人の症状や身体所見などを加味せずに、病気の診断をすることはできないのです。
まず新型コロナウイルスは置いておいて、例として以下の問題を考えましょう。
上述したように、これだけの仮定では確率を計算することが出来ません。この確率を計算するには、そもそもこの感染症Bがどれくらいの有病率なのか(ある時点で、全人口のどれくらいの割合の人が感染症Bにかかっているか)を仮定する必要があります。ここでは、ある時点で感染症Bに感染している人が日本全体で1万人程度いると考え、有病率を0.01%(1億人分の1万人=1万分の1)と仮定します。
次に、検査の精度とは何かを考えます。検査の精度とは、以下の2つに分けることが出来ます(病気にかかっている=原因ウイルスを持っている、病気にかかっていない=原因ウイルスを持っていない、と考えることとします)
1.「『真にその病気にかかっている人』が検査を受けると『陽性』と出る確率」:この確率を感度と呼びます
2.「『真にその病気にかかっていない人』が検査を受けると 『 陰性』と出る確率」:この確率を特異度と呼びます
一般的に、検査の精度とは「感度〇%、特異度〇%」と表されます。この例では、「精度99%」と言っているので、「感度99%、特異度99% 」の検査であると仮定します。このような検査で陽性の結果が出た、とはどういうことを意味するのでしょうか。これは、医療系の大学では、検査診断学の中で必ず理解しなくてはいけない重要な問題です。解法としては、全人口を仮に100万人として以下のようなマトリックスを計算により埋めていくと答えが出せます。
まず、③⑥⑨の列をみていきます。
全人口を100万人としているので、⑨=100万人です。更に、 全人口100万人に対する感染症Bの有病率を0.01%と仮定しているので、③=100万×0.01%=100人、⑥=100万-100で999,900人となりますが、ほとんど同じなので100万人と考えます。
次に、病気にかかっている人の行に注目します。
「病気にかかっている人のうち、検査を受けると陽性となる人」の確率が感度なのでした。したがって、①=100人×99%=99人となります。②=100-1=99人です。
次に、病気にかかっていない人の行です。
「病気にかかっていない人のうち、検査を受けると陰性となる人」の確率が特異度でした。したがって、⑤=1,000,000×99%=990,000人、④ = 1,000,000 – 990,000 = 10,000人となります。
最後に、一番下の行です。
縦の列に沿って足し算をすれば良いので、⑦ = 10,099人、⑧ = 990,001人となります。
さて、以下のように表が埋まりました(概算ですので一番下の行のヨコ方向の計算は合いませんが)。
求めたい確率は、「検査で陽性と出た人のうち本当に病気にかかっている人の確率」(陽性的中率と呼びます)でしたので、上の赤枠で囲まれた行に注目して、99÷10,099 = 0.0098… = 約1%となります。
つまり、精度99%の検査を受けて陽性の結果だったとしても、有病率が0.01%だと、その人が本当に病気にかかっている確率は1%程度にすぎない、という結論になります。このように、陽性と出た人でも、その病気にかかっている確率はまだまだ無視できる程度しかないということが往々にしてあります。
感覚に合わないという方もいるかもしれません。この結論には、「検査する前に、その人が病気にかかっている確率(検査前確率)が0.01%とごく小さい」ということが影響しています。今回は検査を受ける人の症状の有無は無視して、症状がない人も含めて考えているため、検査前確率が有病率と同じ0.01%とごく小さいものでしたが、この人に発熱や咳、くしゃみ、息苦しさ、といった症状があったり、感染症患者との濃厚接触歴があったりすると、そういった条件のない人と比べて、検査前の段階から感染症にかかっている確からしさが上がっていきます。このあたりの診たては医師の診察によりますが、病気を疑う症状や背景、身体診察上の所見が複数あることで検査前確率が1%, 10%と上がってきた場合に、検査をする意義が出てきます。その上で検査結果が陽性となった場合には、その人が病気である確率が70%, 80%と考えられるようになるため、症状、身体診察の所見、他の検査結果と併せて病気の診断が下るという流れになります。
ここでは例として感度・特異度を99%として算出しましたが、この数値が異なれば当然、また違った結果が出てきます。しかし、どんな検査でも感度・特異度が100%ということはまずあり得ないため、検査結果のみで診断をすることはできません。
新型コロナウイルス感染症のPCR検査の例で考えると、確かな数字は分からないものの、感染拡大期の有病率は0.1%~1%程度はありそうです。特異度は96%~99.7%など高い数値が出ていますが、感度は50~70%程度のようです。これらを踏まえて、有病率0.5%, 特異度99%, 感度60%と仮定してもう一度マトリックスを計算してみると、以下の様になります。
この表から、陽性的中率は3,000÷12,950=約23%と、最初の仮定よりは高い確率が出てきました。しかし、まだ病気にかかっていると確定するには低すぎる確率でしょう。一方で、「検査結果が陰性の人が、病気にかかっていない確率」(陰性的中率)は985,050÷987,050=約99.8%と、殆ど100%と言えます。つまり、この仮定であれば、検査結果で陰性と出た場合には「ほぼ確実に病気にかかっていない」と言えるため、陰性の結果はその病気にかかっていないことの一定の証拠になります。但し、検査を実施した後に罹患する可能性もありますから、感染対策を怠って良い理由にはなりません。ちなみにこの表から、症状が何もない人も含めて100万人にPCR検査をしたとすると、「病気にかかっているのに陰性と出る」いわゆる『偽陰性』が2,000人に起こることが分かります。感度があまり高くない検査をあまりにも多くの人に対して実施した場合、病気にかかっているのに陰性と出てしまう人も多く出現してしまうことに注意が必要です。陰性と出ていても症状があったり、感染者との濃厚接触がある場合は、医師の診察により感染者と考えられる場合もあるでしょう。
地方・海外へ出張に行かれる方や高齢者用施設で勤務される方など、新型コロナウイルスに感染していないという証明を必要とされる方は、PCR検査の陰性結果を利用されるのも合理的であると考えられます。
新型コロナウイルス感染症の有病率を0.5%、PCR検査の感度を60%、特異度を99%と仮定すると
1. 陽性的中率は23%と小さいため、検査陽性のみを持って感染の診断にはならない
2. 陰性的中率はほぼ100%(99.7%以上)であり、検査陰性はその時点で感染していない有力な証拠になる
3. 検査の結果が陰性であっても、感染対策を怠ってよいことにはならない
執筆:永野泰寛(精神科医、産業医)
[2020.10.18]
PCR検査は各検査施設により、制度やPCR検査の費用が大きく異なります。厚生労働大臣や総務副大臣などを歴任した田村憲久議員から、感染対策、検査設備、検査制度、検査を行う技師の的確さなどが統制がとられていないことが言及されるなど、しっかりした検査医療機関とそうではない医療機関の差をまとめました。
保険外診療では、個々の医療機関で価格が自由に決められ、約15,000円〜50,000円まで、検査費用に大きな差があります。外部に委託するとなるとそれだけで30000円ほどの費用がかかってしまいます。当院は院内にラボを設置することにより、他院よりも価格を大きく下げることができました。
価格に関して、なぜこんなに日本のPCR検査は高いのか?日本でPCR検査を実施するには、大きなハードルがいくつかあります。
当院では、国立感染症研究所プロトコルに準拠した唾液PCR検査(RT-qPCR)を行っております。検査機器・試薬ともに日本のバイオ機器メーカーであるタカラバイオ製を使用しており、安心してご利用いただけます。また、メーカー指定の期間で定期的に精度管理も行っているため、高い精度でウイルスRNAを検出することが可能です。
PCR検査の精度を正確に保つために、PCR経験が豊富な医学部教授、医師、基礎医学研究者と一緒に精度管理を行っております。
当院の郵送PCR検査をご希望の方は、医療機関に訪れて検査をする必要はありません。よく患者さんからのご相談で「発熱外来にいった待合室でうつりそうで怖い」、「発熱しているときや濃厚接触者になると公共交通機関がつかえず、タクシーで遠方から検査を受けに行くのは難しい」、「免疫抑制剤や癌の治療をしているので外にでたくない」、「高齢で足腰が悪い、まだ子供で移動が難しい」などのようなご相談をうけました。そのようないまの社会のPCR検査の体制から取り残されてしまった方達へ対応するため、当院では家で完結できる郵送PCR検査キットのシステムをつくりました。
当院は、検査をご希望の方に、検査キットを自宅に郵送し、ご自身で検体を採取・五重梱包の後、返送していただいて検査を実施しております。さらに、その後の診療もオンラインで行うため、移動・接触が無く感染リスクはありません。
当院のPCR検査は、鼻腔・咽頭拭い液ではなく、唾液での検査を行っています。鼻に細い棒を入れ、血がでたり、痛いような検査は実施しておりません。鼻腔・咽頭拭い液のPCR検査は、鼻腔・咽頭拭い液の採取には刺激によるくしゃみ等によりエアロゾルの発生が起こり感染のリスクが伴う可能性があります。0歳児でも安心して行えるのが唾液PCR検査です。
採取方法は唾液を容器に入れていただくだけなので、高齢者や0歳のお子さんにも安全に、簡単に検体が採取できます。これまでの研究結果から新型コロナウイルス感染症の発症後10日以内であれば唾液によるPCR検査は鼻腔・咽頭拭い液での検査と同等の検出率であり、唾液採取による周囲への感染リスクはほとんどないことが分かってきました。
唾液採取後、ウイルスの感染性をなくすために、試薬(濃度の高い界面活性剤)を入れていただきます。そのため、一度、唾液と試薬を混ぜたあとは、唾液は感染性を失うため、それによってウイルスに感染することはありません。また、輸送する際は5重に梱包していただくので、万が一、容器のフタが完全にしまっていなくても、それが外部へ漏れる心配はありません。
コロナウイルスのクラスター予防には定期的なPCR検査が効果的だと明らかになっています。海外、特に中国では定期的に、もしくは陽性者がでた場合町全体で無症状の人もPCR検査を行うことでクラスター予防、 発生者予防に大きな貢献がされました。日本ではPCR検査が抑制されており、ある程度重症にならないと陽性にならない抗原検査に重きをおいているため、感染初期の他人への感染性がある期間を見つけることができません。しかしながら、対面がかかせないお仕事や、家族や大事な人を守るために「定期的にPCR検査を受けたい」と言った声を多く、当院では、1回あたりの価格をできるかぎり抑えた「サブスクPCR検査」を提供しております。週1回6,858円(29,800円/月)でPCR検査をご利用いただけます。