薬を使わず、短期間でうつを治療する方法として、TMS治療が注目されつつあります。
ここではTMS治療のメカニズムや効果、治療期間などについて説明していきます。
目次
TMSとは何の略?
TMS(Transcranial Magnetic Stimulation:経頭蓋磁気刺激法)は、うつに大きく関わる背外側前頭前野を含む前頭葉を「磁気刺激」によりケアする治療法です。
磁気により身体を傷つけることなく脳細胞を刺激することで脳の治療ができる副作用の少ない新しい治療です。
元々、脳神経内科領域の検査やリハビリテーションの治療などにも使用されていた機器であり、2000年頃から急速に心の治療としてTMS治療の研究がすすみました。
日本でも世界に10年遅れ、2019年6月にうつ病に対するTMS治療が保険診療化されました。
海外では主流な治療の一つでもありますが、日本では保険診療化されたばかりの治療であり、TMS治療の経験がある日本の医療者は多くありません。
ハーバード大学は世界の中でもTMS治療の研究・臨床・教育をすすめています。
世界の標準的なTMS治療を扱うTMSコースを修了した医師が監修したクリニックです。
「お薬でなかなかよくならない」「お薬の副作用が不安」「減薬したい」方にTMS治療を提供します。
TMS治療による効果
TMSによって期待できる効果としては、
- 普段通りに仕事ができる
- そわそわ・イライラの改善
- 判断力の回復
- 気分の落ち込みの改善
- 夜の寝つきがよくなる
- 疲労感の改善
- 食欲の改善
などがあります。
また、当院ではさまざまな疾患、お困りごとに対して治療を行っております。
TMS治療のメカニズム
TMS治療では前頭葉にコイルを当て、磁気による刺激を行います。
コイルに電流を流して磁場を発生させることで、磁場が変動します。
磁場の変化により、脳が刺激されることで、
・脳血流のバランスを整え、脳の機能を調整する。
・集中力・思考力・意欲などを向上させる。
・扁桃体の過活動を抑制する。
などの治療効果が期待できます。
TMS治療の頻度と期間
TMSについての多くの研究では、週5回4-6週連続の刺激法が主流です。
しかしながら当院では臨床のプロトコールを用いて、刺激方法を工夫することでより少ない治療頻度での適切なTMS治療もご相談に応じております。
(1週間に2回通院からはじめて効果がある方もいますが、より適切な治療としては、最初の10回までは1週間に3回以上の通院をおすすめしています)
全体として30回程度の治療を行い、その後メンテナンス(維持)mTMS治療による再発予防のTMS治療を組み合わせることをおすすめしています。
TMS治療の効果のあらわれ方
TMS治療は1回で効果があられることはほとんどありません。
おおよそ10回くらいから効果があらわれる方が多くいらっしゃいます。
初期の10回は脳が安定していないので刺激頻度を高く来た方がおすすめです。
10回目や15回目程度でよくなったと中断してしまうと、また2-3ヶ月ですぐに同じ状態に戻ってしまいます。
脳が安定するまでの20-30回程度まで継続し、必要に応じて再発予防のメンテナンス(維持)mTMSでフォローアップをすることをおすすめします。
TMS治療の副作用
当院では磁気刺激の強さは個々に合わせ、痛みがないように調整をしております。
まれに軽い頭痛や吐き気や顔面の違和感を施術後感じる方もいます。一番大きな副作用でけいれんは0.1%程度の方がなる可能性があるといわれていますが、当院ではTMS治療開始前にけいれんのリスクがある方に関しては実施をお断りさせていただいており、安全に実施できるよう診療を行っております。
書籍『うつ病のTMS療法』(鬼頭伸輔編、金原出版、2016年発行)では、うつ病に対するrTMS治療の副作用について、米国で行われた大規模臨床試験の結果が以下の表のようにまとめられています。更にこれについて、「治療日数を重ねるにつれて、頭痛、疼痛、不快感は速やかに軽減することが多い」と記載されています。尚、このデータはrTMS治療として最大の刺激強度を用いた結果である点に注意が必要です。
TMS治療の効果
研究をもとにしたTMS治療の文献では、一般的にTMS治療は3-4割の効果が認められるとされています。
当院では、研究プロトコールを踏まえた上で、より治療効果を高めるための臨床プロトコールと臨床TMS治療機器を採用し、8-9割の改善効果をみとめています。
心理検査改善割合
重症度別 TMS治療改善度
「日本人に合わせた世界標準のTMS治療」を行うため日々データを積み重ね分析し、治療を改善しています。
TMS治療の料金〜日本における保険診療~
日本では、TMS治療が2019年6月にうつ病に対して保険適応になりました。
しかしながら、TMS治療の専門家は日本に少なく、適切なTMS治療を行える医療者・医療機関がないこと、医療費の面からも112万人もの気分障害の患者さんを対象にできないことから治療対象、医療機関、刺激法などの厳しい制限がかかった保険適応になりました。
保険診療の対象となるのは、「うつ病の患者さん」、「1剤以上の抗うつ薬で効果が得られなかった方」などであり、全体の3割程度の患者さんしか適応になりません。
また、いろいろな制度の問題からTMS治療が保険適応されても、残念ながらTMS治療の恩恵を受ける人は限定的であると考えます。
当院では世界におけるTMS治療の最前線治療対象領域とその適応、非適応基準に従って、今回の保険診療適応とならない方もTMS治療を受けられるように、分析を重ねながらTMS治療を保険診療になる前から行ってきました。
2021年の時点で日本人に対する3000症例以上のTMS治療の経験があり、 欧米人との違いから「日本人に合わせたTMS治療」 を独自に分析しながら改良を重ねてきました。
保険適応TMS治療の3つの制限
- 対象:
抗うつ薬を服用したことがあり、薬剤抵抗性の難治性うつ病で医師がTMS治療の適応となると判断された者 - 医療機関:
地域の精神科中核病院:紹介状が他の医療機関から必要 - 入院治療:
保険診療では入院のTMS治療のみが行われており、外来のTMS治療は行われてない
上記の条件に当てはまらない場合には自由診療でのTMS治療を受けていただくことになります。
※当院は保険適応ではございません※
TMS治療クリニックの選び方についてもご参照ください。