不安障害のTMS治療~焦りと不安~

不安障害とは?

自分でも変だなと思うけれど心配や不安がつのって、抑えられず日常生活に影響が出てしまう…

「不安」が原因でおこるこころと体の様々な不快な変化のすべての総称を「不安障害」いいます。

「神経症」、「不安神経症」と以前は呼ばれていたこともあります。

元々「不安」は自分をまもるため「良い未来」をつくるための防衛能力です。

しかし、「不安」が必要以上に高まり、日常生活に影響が出た時には病院での治療が役立ちます。

不安の現れ方は人によってさまざまです。

イライラ、焦り、集中力・決断力が低下する、眠れない、動悸、汗、肩こりなどの自律神経症状、アルコールやお薬への依存、過食などがみられるひともいます。

不安障害にはうつ状態が併存することもあります。

うつ病の患者さんのうち、58%が不安障害を併発していたという報告もNCS(National Comorbidity Survey)にあります。

不安障害の種類と原因

不安障害の種類には、全般性不安障害(GAD)、パニック障害(PD)、強迫性障害(OCD)、社交不安障害(SAD)などがあります。

※当院ではそれ以外の強迫性障害(OCD)、分離不安症(分離不安障害)、選択性緘黙症(場面緘黙症)、限局性恐怖症、広場恐怖症、物質・医薬品誘発性不安障害、他の医学的疾患による不安障害などは治療対象外にさせていただいています。

不安障害の原因と治療

不安障害の原因は一般的には遺伝・環境・精神的な気質・身体的な状態が関わっている可能性があるといわれているものの、まだ明らかになっていません。

最近では脳のネットワークの不調や、脳の前島前皮質の過活動、扁桃体、前帯状回、海馬、島などの機能異常が関連していることが明らかになってきています。

不安障害の治療は、

  1. お薬による治療
  2. 認知行動療法や対人関係療法などのカウンセリング
  3. 脳のネットワークを調整する「薬に頼らないTMS治療」

「薬に頼らないTMS治療」は、脳の前島前皮質や扁桃体の過活動を磁気により調整することで、不安障害の治療効果を示します。

副作用が少なく 安全性が高いTMS治療は「くすりが怖い」、「くすり による治療でもなかなか改善しない」という方におすすめです。

コロナうつ

「日本人に合わせた世界標準のTMS治療」を行うため日々データを積みかさね、分析し治療を改善していきます。

当院の不安障害TMS治療の効果

どの病院もクリニックも同じTMS治療を行っているわけではありません。

TMS治療は海外に10年遅れて2019年6月に保険診療になったばかりでもあり、海外のTMS治療の知識と専門性をもつか、経験症例数や、プロトコール、日本全体の他医療機関との医療連携を実施しているかなど、TMS治療の専門性に大きく違いが存在します。

研究をもとにしたTMS治療の文献では、一般的にTMS治療は3-4割の効果が認められるとされています。

当院では、研究プロトコールではなく、より治療効果を高めるための臨床プロトコールと臨床TMS治療機器を採用し8-9割の効果をみとめています。

「日本人に合わせた世界標準のTMS治療」を行うため日々データを積みかさね、分析し治療を改善していきます。

症例報告

40歳 男性 不安、落ち込み、早朝覚醒(早く目が覚めてしまう)、睡眠薬の減薬希望

食欲はあるけれど不安が強い。休職をしても改善しない落ち込みの強さ
早期復職・強いお薬がなくても、しっかり眠れて通常通りの生活が送れるようになりたい。

8年前から仕事のストレスが強くなり、おちこみを自覚するようになりうつ病の診断で総合病院で薬物治療を受けられていた。

なんとかお薬を飲み続けることで仕事ができていたものの、コロナ禍の影響をうけ先の見通しが立たないことから仕事の不安がさらに強くなった。

当院受診3か月前より寝付けなくなり、主治医から睡眠薬を処方してもらい寝つきは改善したものの、4時間程度で起きてしまう状態がつづいていた。

そのうち、朝に早朝覚醒した際に動悸がして手が震えて、不安感をさらに強く感じるようになった。

仕事でも集中力が低下し、仕事ができる状態ではないと診断され、休職になった。

休職になり仕事から離れても、落ち込みはむしろ強くなり、お薬以外の治療を希望され当院に来院されました。

当院初診時 うつ状態、集中力、不安に対する心理検査がすべて重度(抑うつ16点、集中力21点、不安16点)でありました。

もともとの自分の状態が思い出せず、健康だった時の感覚を思い出したい。

家族のこともあり、早く復職をしなければと焦りもありながら、現在内服している強いお薬がなくてもしっかり眠れて、普通の生活が送れるようになりたいと話されていました。

当院では、まずは不眠に対するTMS治療を10回行いました。10回目の心理検査では、全ての心理検査結果が改善したものの(抑うつ6点、集中力11点、不安10点)もののご本人としてはまだ実感はないとのことでした。

その後、11回目より不安に対するTMS治療に変更し、TMS治療トータル20回時には、すべての心理検査がさらに改善され(抑うつ3点、集中力6点、不安5点)、ご本人の自覚も不安、落ち込み、睡眠に対し改善を実感され、合計TMS治療30回目で当院を卒業されました。

43歳 男性 不安、神経過敏、落ち込み、集中力低下

変化に対して、落ち着いて構えられるようになりたい。 仕事の集中力を戻したい。

5年前に他院でうつ状態に対し薬物治療を行い、その後主治医より寛解を告げられ減薬し、通院終了となっていた。

しかしながら、コロナ禍で在宅勤務(テレワーク)となり、妻との衝突が増えネガティブ思考が強くなった。

5年前のような不安感が強くなり、頭にモヤがかかったような状態になり集中力が低下して、業務にも支障がでるようになった。

5年前の減薬の離脱症状が大変だったため、お薬に頼らない治療のTMS治療を希望され、初診となりました。

当院初診時の心理検査ではうつ状態4点、集中力4点、不安10点であり、ご本人としてはブレインフォグ・集中力低下についてまず対応したいと話されていました。

そのため、最初の10回は集中力に対するTMS治療を行い、落ち込みや集中力に対しては自覚症状の改善を認めました。

しかしながら、不安、神経過敏の自覚症状は変わらなかったため不安のTMS治療にプロトコールを変更しました。

TMS治療を20回、30回、40回…と続けていくと、以下の表のように心理検査の結果がだんだんと改善がされてきました。

40回目のフィードバックでは、不安で胸がドキドキするのが減った。落ち込みもなくなり状態が安定して仕事がしやすくなっていると喜ばれていました。現在ではメンテナンス治療を受けに1週間に1度程度のペースで通院を継続されております。

不安障害に対するTMS治療の文献(エビデンス)

お薬の治療では消化器症状や奇形、認知機能の低下、電気痙攣療法の副作用である記憶障害などの認知機能障害がありますが、TMS治療は軽い頭痛や軽い吐き気など副作用が少ないことが特徴です。

不安症状におけるTMS治療は脳の細胞を磁気で刺激し、脳の皮質の興奮性を抑制することで不安症状に対する治療効果を示します。

不安に強い身体づくり

  1. バランスが崩れにくい身体を作る
  2. よく眠る
  3. 食べ物に気を付ける
  4. タバコやカフェインに注意する
  5. 飲みすぎない: 月経前後は無理しない
  6. 定期的な運動

 上記をのことを完璧にやろうとしない。

参照:「正しく知る不安障害」技術評論社

カフェインやアルコールの摂取を控えること、運動をすることは、TMSと組み合わせると治療の効果を最大限に引き出せると言われております。

当院では治療前後のカフェインやアルコール摂取をできるだけお控えいただき、治療後の糖分や水分の摂取、軽い運動を推奨しております。